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明日への一歩

2017年7月21日金曜日

早稲田大学×地域議員研究会 共催セミナー

早稲田大学環境総合研究センター 研究院准教授 永井祐二

「市民と創る地域ポイントシステムの実例と応用」

貨幣が不景気のため流通せず滞ってしまう。そのような中、地域内の相互支援手段として地域通貨が発生。海外地域通貨の事例:イサカアワー(アメリカニューヨーク州の北西部にある人口3万人の町:10ドル=1アワー)千人以上の個人会員と400の企業の参加のもと、200万ドル以上の経済効果があった。地域の富を循環させるために新しい仕事を作り出すに至っている。日本にも地域通貨のブームで現在第二次地域通貨ブームとなっている。地域通貨全リスト(http://cc-pr.net/list)で紹介されている。地域通貨が日本的発展を遂げており、流通地域の経済活性化という意義を超えて、福祉・介護・育児、街づくり、環境、教育 等を評価付けし地域問題の解決、地域コミュニティの再生まで発展しようとしている。
交換される対象として①サービスだけを交換②サービスとモノを交換2通りあり、対象がサービスだけであれ、モノを含むものであれ、交換の際の基準がないと地域通貨は機能しない。その基準となるものが①誰でもが平等にもっている「時間」を単位とする②サービスやモノの内容という「経済的な価値」を単位とする。
 今、バウチャー制度(政府の補助金が利用者個人に直接交付され、利用者が希望する施設を選択し、提出されたバウチャーに基づいて政府が施設へ代金を支払う)が普及してきており、ポイントとの連動が模索されてきている。
「北九州市の環境パスポート」「高知県交通エコポイント」その他都市と地域をつなぐモデルや横浜市のウォーキングやボランティアなどの継続的な取り組みをポイント化するモデルが紹介された。
近年、共通ポイントが熾烈な競争の中にあり3社に集約されつつある。そのことによって地域独自のポイント制度の魅力が削がれている。交通系ICカードや携帯端末にNFC(ICカードリーダー機能)がついたことを利用し、初期投資不要のシステムが開発されている。複数のポイントを管理(ココカポイント等)
今後、マイナンバーカード制度を活用した地域経済応援ポイント制度も出てくるが、セキュリティの問題が足かせとなる。交通系ICカードとの連動に活路がある。

「地域が豊かになる民泊の実例・基礎知識」

インバウンドの増加により、宿泊施設が不足。オリンピックに向けて施設の量の確報の観点で民泊に注目が集まっている。訪日外国人観光客増加のへの期待、農村漁村滞在型余暇活動、地方創生、シェアリングエコノミーの台頭。厚労省はこれまでも規制緩和をし、簡易宿泊所や農林漁家体験民宿なども設けてきた。更に国家戦略特区もある。
その様な中、民泊新法が施行。都道府県知事への届け出や年間提供日数180日の制限が設けられた。本来日本版DMOの役割で、単なる民泊ではなく多様なサービスを提供することが求められる。民泊はいわゆる旅館ではない。泊まる場所を提供するのではなく地域の良さをアピールすることが重用である。
空き家の改修はハードルが高い。あまりお金をかけずにやることが肝要。食事は利用者と一緒に調理することで食品衛生法から逃れられる。
緑の分権改革の枠、地方創生枠の上乗せ、農水省の補助金(農山漁村振興交付金)などを活用することも検討。

2日目 
㈱早稲田大学アカデミックソリューション
早稲田大学スマート社会技術融合研究機構 井原雄人

「地域公共交通の基礎知識」

 公共交通空白地の深刻化(人口比5.8%
地域公共交通に求められる役割①地域住民の移動手段の確保②コンパクトシティの実現③まちの賑わい創出や健康増進④人(来街者)の交流の活発化。
改正地域公共交通活性化・再生法(2014年):第4条で国・地方公共団体・交通事業者に努力義務や区域を超えた広域的な取り組み(必要な範囲で)を求めた。(地域公共交通網形成計画(総合的なネットワークによる多様なサービス)、再編実施計画、事業・協議会による規制緩和が可能)。(武蔵野市・三鷹市ムーバス)
地域の特性に合わせた事情需要に応じて多様な交通形態を選択。公共交通会議で合意が得られれば事業者によることが困難な場合、自家用自動車による有償運送(市営バスなど)。
地域の事例:兵庫県豊岡市、多様な交通により生活交通ネットワークにより利用者15万人が6万人に減少、10万人まで回復。熊本市、市営バスと民間が役割分担をして路線再編。
近年高速バスの需要が伸びているので、統計数字には注意が必要。
自家用有償旅客運送:デマンド運行(区域運行)。①迂回ルート型②*一部区間デマンド型③設定ダイヤデマンド型④区域型がある。
規制会議により公共交通会議による協議合意により、営業区域の隣接営業区域でも可能。
安全確保の対策は必須。地域公共交通の維持を社会の仕組みに置き換える、赤字路線を維持するためにこれまでは事業者の内部補助で賄っていた。愛知県瀬戸市(町内会費アドオン)。自己負担と協賛の割合をとことん話し合う。関係者が目的を共有して本音で議論。

「地域公共交通を守る工夫の様々な実例」

北九州市枝光地区の取り組み(やまさか乗り合いタクシー)。走行ルート:1周4k前後5ルート62便で運行(バスを何分待てますか15分)年間利用客89,000人。効率的なルート設定と事業性の確保。5名程度以上の平均用者数を確保するルートと運行密度により事業採算性を確保。利用者が350/日を超えるまで6か月間を要し、認知度を確保するまで高齢者を含めた地域住民への周知期間が必要。空き店舗などを活用し人の集まる場所づくり。結節点の整備と穏やかなデマンドがポイントである。

 低速電動バスの事例や観光との連携の取組みが紹介された。

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