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明日への一歩

2014年8月7日木曜日

教育改革は家庭教育支援から切り込め

8月4日、5日 東京八重洲で開催された地方議員研究会に参加しました。

教育改革は家庭教育支援から切り込め

「家庭教育支援行政の実際」

講師:水野達朗 一般社団法人家庭教育支援センターペアレンツキャンプ 代表理事



家庭教育支援のメソッドは、保護者がカウンセリングの手法を活用することである。

多くの場合は、不登校は心が満たされるまで待ちましょうとされているが、多くは積極的に戻してあげたほうがよい。そもそも家庭教育とは、教育基本法第10条に、保護者が子どもの教育について第一義的責任を有し、国や地方公共団体が家庭教育支援に努めるべきことと規定されており、子どもの自立を家庭で育むものである。

現在の行政における家庭教育支援は、ニーズをつかみ切れていない。

半数以上が家庭の教育力が低下していると感じており(香川県家庭教育状況調査)、躾の不足や不安を半数が感じている。でも、コミュニケーションは取れていると感じているとのアンケート等から、家庭でのコミュニケーションの内容や形態に問題があることが示唆されている。過保護なのか?過干渉なのか?分からなくなっているのである。以外に小学校1年生の不登校がある。その多くは、過保護・過干渉のため、怖い学校よりなんでもしてくれる家庭が良いというケースである。

これらの背景から、自治体における家庭教育支援の規範として、家庭教育支援条例が発布され始めている。(平成25年くまもと家庭教育支援条例)しかし、公的支援では市民のニーズが相談にあるのか?解決にあるのか?を紐解く必要がある。

日本の不登校支援の成り立ちは、平成4年の適応指導教室を中心とした来談者中心療法のカウンセリングが中心(待ちましょう)とされてきた。平成10年、不登校は心の成長の助走期ととらえ、ゆとりをもって対応しようとなっている。平成13年にはスクールカウンセラーの活用が始まり、拡充が進んでいる。その後、学校の柔軟な対応や連携ネットワークの整備など、不登校支援の機能は強化されているものの、「待ちましょう」対応は変わっていない。保護者が求めているのは、抜本的な解決なのである。

不登校の現状は、小学校が3万人、中学校10万人とされているが、実際(別室登校などを含めると)はその5倍ぐらいはあるのではないか?地域での現状把握が必要である。注意すべきは、どこにも相談・指導を受けなかった生徒が30%も存在している(そもそもやる気のない親の存在)ことである。中学校での家庭教育施セミナーの意識づけ、中間層も取り込んでいく手法も必要である。また、不登校生徒の進学は67%、高校ではそのうち60%が無事卒業。平成11年度調査を行った不登校生徒の22.8%がニート・ひきこもり状態にある。これは大きな問題である。解決の出口が、見かけの不登校数減少や進学率の向上ではなく、「社会(仕事に従事)」であるなら、もっと早くから家庭教育支援の改革が必要ではないか。対処療法的ではない未然予防という考え方、家庭教育支援が必要なのである。

学校・先生の立場を家庭(保護者)が下げている現状がある。公的支援の相談窓口が複雑な上に、不登校の対応は教育部局、アウトリーチは福祉部局といったように、縦割りの障壁があり、円滑なサービスが提供できていない。だから、中間支援の存在の重要性が高まっている。

 

教育予算全体の中で自治体独自にできる割合が5%。実際に家庭教育支援に向けられるのは1%にも満たない。現状の教育予算を詳しく見て、既存事業の圧縮、無駄を省くこと。また、時限的な予算(耐震化やICT導入など)の切れ目が狙い目である。更に、国の補助金を利用することも有効な手段。文科省の家庭教育支援における訪問型アウトリーチ支援事業などがあった。そして、地域資源(ボランティアや民間団体、NPO)をうまく活用できているか見る必要がある。家庭教育支援をチェックするには、運営体制はきちんと整えられているか?乳幼児支援に留まっていないか?を注視する必要がある。不登校に対する公的支援は、長期欠席者全体を考えた支援が行われているか?病気と判断されている場合は保健・福祉部局に引き継がれフォローされなければならない。また、義務教育後の支援、引き込もり支援や就業支援と連携が取れているか?注視する必要がある。

 

家庭教育支援行政の問題点は、①窓口が猥雑であること。佐賀県武雄市の窓口一本化などの例もある。子育て支援センターの窓口への一本化と情報共有し、教育支援センターは実際の支援活動と人材研修に特化させる。さらに学校・医療機関・民間機関との連携強化していくことが求められる。②縦割り行政の問題点を改善するために、地域協議会での連携や、要保護児童対策地域協議会を活用すること、コーディネーターを中心とした新しい枠組みの構築、相談窓口を教育委員会か保健福祉局のどちらかに一元化する、放課後児童クラブと地域子ども教室など競合する支援の連携・一元化などが上げられる。③セミナーサロンの在り様自体が、時代の要請に応えていない。改善策、新しい家庭教育支援のカタチの検討。電話やメール、アウトリーチなど。SNSやLINE等の活用も検討してみては。

 

 

「地域資源を活用した新しい家庭教育支援のカタチ」

 

最近のニュースで、教職員の平均年齢が低下、教員の多忙改善、外部人材(チーム学校)の活用を目指す(中教審に諮問)報道があるなど、分業化が指向されているようである。しかし、もっと先を見込んだ地域で家庭教育支援を行うことを目指すべきではないか。

中間支援は、学校と家庭をつなぐものと思われがちですが、それに留まらず全ての機関と繋がることが求められている。子供を取り巻く環境が変化し、家庭・学校・地域が支える力が弱くなっており相互連携も図れなくなっている。その隙間を中間支援機関(塾、NPO、行政の支援チーム)が埋めている。過渡期として、中間支援機関に期待するのはやむを得ない。しかし、先ず力を取り戻すのは家庭教育支援である。学校・先生の立場を下げているのは家庭なのであるから。

現在抱えている問題点は、家庭教育の情報不足・情報過多である。特に情報過多が問題。家庭では、混乱して何をしていいか分からなくなっている。家庭の孤立化は危機的状況にある。これを阻止するために家庭教育支援チームが活躍するべきである。何もしない事が最大のリスクであるという認識が必要である。

家庭教育支援チームの役割は、①保護者への寄り添い支援②家庭と地域とのつながり支援③家庭と学校など関係機関とのつながり支援とされている。家庭への訪問型支援を通じて、地域の立場から学校での子供の状況を家庭に伝え、両者をつげている。

その求められる機能は①当事者性、②地域性、③専門性であり、違う属性の支援・機能が必要な為、チームでの支援が必要である。

具体的に求められる機能として

①       保護者への情報や学びの場の提供

②       家庭と地域とのつながりの場の提供、サロンも有効活用(保護者が参加しやすい企画をマネジメントすることが重要)

③       訪問型家庭教育支援(アウトリーチ)

現状の体制は、家庭教育支援を担当する職員が配属されていない。チームの組織化(人材育成)、中心となる存在(ファシリテータ)の養成が重要。また、法的根拠からチームの拠点が重要である。武雄市の家庭教育支援チームの成功例は、行政の財政的支援がカギ。

家庭教育支援の支援モデルイメージが重要で、関心が高い保護者から低い保護者までを、支援機能を有効的に活用し、移行・循環させることがポイントである。

家庭教育支援チームの組織化マニュアルが重要。その組織化は①基本的な組織体制の構築②相談業務や訪問型支援を行う場合のルール作り③包括的なネットワークの構築という3つの段階を経て進められていく。その上で、地域に中心となる存在(ファシリテーター)の養成が重要である。その家庭教育支援チームにおける人材養成には、①地域密着型②チーム型③循環型がある。

 

 

2014年7月26日土曜日

人口減少のなかで活力あるまちづくりを考える

2014年7月24日(木)、25日(金)

於:京都テルサ

主催:NPO法人建設政策研究所 関西支社

第11回地方議員研修会

「人口減少のなかで活力あるまちづくりを考える」 

に出席しました。



 

記念講演「人口減少時代のまちづくり」

中山徹 奈良女子大学 教授

政府の2014骨太方針で「50年後に1億人を維持する」ことを目指している。しかし、出所率2.07(高度成長時代の出生率)が前提条件であるため、極めて厳しい目標である。それでも人口は2割が減るのである。まちづくりの大前提が「人口減少・高齢者が多い」としなければならない。

これまでのまちづくりの基本は、増加する人口、産業をどう受け止めるのか、乱開発の防止がテーマであった。しかし、現状でのまちづくりでは、人口減少に対応する計画が未確立なために、無計画な縮小が発生している。人口が減る時に放置すると、街が衰退する。

海外の事例

①     ドイツのシュリンキング、10年前から減築(集合住宅)を国が制度として開始。建物を計画的に間引いて、公園や高齢者施設に変えている。

②     アメリカ、ヤングスタウンのシュリンキング。市街地を縮小する計画を立てるがうまくいっていない。

③     イギリス・コミュニティフォレスト、かつて失われた自然や歴史を取り戻す。

④     韓国ソウル・清渓川(チョンゲチョン)再生プロジェクト。環境とか文化を高めて優秀な人材を呼んでくる(創造都市)。

ヨーロッパでは公共交通を軸としたまちづくりトランジットモール(LRT)を採用。

まちの格を創るのは、景観・眺望規制が必要。

人口減少時の対応は、空間的な対応は容易であるが、財源的な対応が困難。

①     参入者から徴収することが不可能。EUでは、地域から撤退する企業から財源を確保、撤退者から徴収。

②     社会的に負担、コストを投じても縮小することの方が将来的にコスト減。ドイツのコンパクト化は社会的住宅が多いから。分譲住宅ではほとんど進まない。アメリカでは公的機関が空地の集約化を図りやすい。

検討すべき課題は、都市部での発想と農山村での発想が異なる。農山村の場合、費用面だけで判断すると集落の集約化、さらには都市部への集団移転が望ましいことになってしまう。

 

特別講演「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」

~コンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築~

高森長任(富山市都市整備部 次長)

 

富山市のまちづくりの基本方針「公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを実現」施策のポイントは、①公共交通の活性化、②公共交通沿線地区への居住推進、③中心市街地の活性化である。都市マスタープランに、居住推進地区を設定し、土地利用と公共交通を一体的に推進。居住人口の目標を20年後に40%と設定し推進。また、市長が109回のタウンミーティングで市民に直接説明を行った。LRTの整備だけではなく、公共交通の活性化と地域特性に応じた多様な生活交通(コミュニティバス等)の確保。

公共交通の設置運営方針は、公設民営で上下分離を行い、公共交通を維持するものである。

セントラムの整備効果としては、①利用者の70%が女性、②買い物目的の外出機会が増加、③移住にも貢献。

JR高山本線の活性化のために社会実験(市費)で5年間実施し、効果の高いものを事業化している。

幹線バス路線の活性化方針は、イメージリーダー路線を重点整備する。

公共交通沿線地区への居住推進策として、①まちなか居住推進、共同住宅の建設補助(100万円/1戸)、優良賃貸住宅建設補助(20万円/1戸)。②沿線居住推進

中心市街地の活性化では、ハード(基盤整備)とソフト(イベントや仕組み)を実施。おでかけ定期券や、まちなか活性化事業サポート補助金、高齢者支援と地域コミュニティの活性化、孫とおでかけ支援事業を実施。学校跡地に介護予防施設を設けるなどしている。

 

 

2日目講義A「まちが生き残るために」コンパクトシティと魅力の創造

今井晴彦 都市計画コンサルタント ㈱サンプランナーズ 代表取締役



第1講 「人口減少と高齢化はなにをもたらすか」

人口減少は一律ではなく地域格差がおきる。地方都市では2030年に高齢者がピークを迎えるが、3大都市はその後も継続して増加する。そしてその、しわ寄せは地方都市にもたらされる。高齢者の独り暮らしが増大し、国が考えてきたような「在宅での介護」は成り立たない。また、交通弱者が増大するため、歩いて暮らせる交通体系が求められる。空き家、空き地の増大。幽霊マンションも増加。相続をしていない、所有者不明の土地も増えている。このため、人口が低密度化することで、都市の維持コストも増大し、都市の経営・財政が困窮する。都市が生き残るためには①まちの活力を維持発展させる(産業・魅力・サービス)②コンパクト化、歩いて暮らせるまちづくり が重要となる。

 

第2講 「都市のコンパクト化をどう進めるか」

まちのコンパクト化には、中心市街地活性化は重要である。

まちなか居住の施策としての「行政による住宅供給支援事業」は、財政効率が良いか検証が必要である。

民間によるまちなか居住の取り組みとして、帯広市(ラプサム協同組合)の廃業となったビジネスホテルを食事付き賃貸住宅や、千代田区神田のNPO法人都市住宅とまちづくり研究会によるコーポラティブ住宅の事例を紹介。

空き家・空き地への取り組み、「空き家バンク」や富山市の岩瀬まちづくり㈱で建物の保存修復、活用を行っている。路線価の1/3で購入し、路線価の1/2で借地。長野市の有限責任事業組合ボンクラでは、空き家めぐりツアーし、希望者の要望を取り入れたリノベーションを行い、修繕費用を家賃から徴収する。大家は不動産に価値ができる。

住み替えで家を有効活用、移住住み替え支援機構を活用し、高齢者が自宅を売却することなく住み替えや老後の資金として活用することが可能。

歩いて暮らせるまちづくりでは、公共交通と自転車活用が柱である。

国の政策動向は、都市のコンパクト化を促進する施策、中心市街地活性化法の改正が計画されている。都市機能誘導区域、居住誘導区域を設定するもので、立地適正化計画を市町村が立てる、包括的なマスタープランを作成することが求められる。

都市機能立地支援事業制度(地方公共団体の応分負担なしに民間事業者に直接支援)もポイントである。

 

第3講義 「都市の魅力をどのように高めるか」

魅力が無ければ、経済が衰退する。まちに魅力が無ければコンパクトにはならない。誰にとっての魅力か?①地元の人②観光客「住んで良し、訪れて良しのまちづくり」である。

外貨獲得の主要は観光政策。中心市街地は便利で安全かもしれないが、現在は多くの地域が、夜楽しむ場所がなく楽しくない。都市の観光的な魅力とは、街なみ景色・食べ物・歴史文化があることである。

まちづくりを進めるために、地域の人材が重要。欧米では都市計画、まちづくりを義務教育で行い、市民やNPOを育てている。自治体の職員の見聞、知識を高めることも必要。 更に、外部専門家を活用することが求められる。

 

2014年7月8日火曜日

飯田町 市道の側道を整備



 

党員Sさんが友人から、香東川に沿って走る市道に樹木が生い茂り危険であるとの連絡をいただきました。

早速、現地に伺い「何年も前から道路課に要望して業者が見に来たが、一向に整備されない」「近くには野球グランドがあり、休みの日には保護者の車が沢山来るので、回避できるスペースが必要」とのお話しを伺いました。その足で道路課と折衝し、4日後には生い茂った樹木の伐採と100m近く沿道の舗装をすることができました。山側のり面の整備も近日中に行います。

2014年5月17日土曜日

高松市議会、圧倒的過半数会派が分裂!

5月14日に高松市議会で起こったことを、少し冷静になったところで記します。

 

朝6時半過ぎ、携帯電話が鳴りました「同志会が割れるそうだ」。

突然の知らせに、ポストから新聞を取りに外に出て朝日を見上げていると頭の中で「新しい朝が来た、希望の朝が・・・」とメロディーが流れ、一日中リフレインしていました。

 

9時には議員控室で待機し、10時開会予定の臨時議会に備えていましたが、一向に開かれず、午後2時になって一旦開会するも、直ぐに休会となりました。議長、副議長、各種委員会のポストを巡って調整が難航し、結局臨時議会が再開したのが午後8時を過ぎてしまいました。

 

高松市議会の同志会会派は1971年に結成され、40年以上に渡り議席の過半数を超える議席を単独で保有していたことから、議会運営も市行政も同志会が由としなければ前に進めないために、“事前の根回し”が重要事項となっていたようです。全国でもこの様に保守系会派が一つにまとまり、単独過半数を占めるというのは珍しい事だったのです。

 

現在、高松市議会は定数40に対し、2名が欠員(期中に逝去のため)38名となっていましたが、その内22名の同志会から14名が離れ「自民党議員会」を結成、議会構成は、自民党議員会14人、同志会8人、市民フォーラム21が7人、公明党議員会6人、無所属3人となりました。これで、単独過半数を占める会派が無くなったために、これまでとは大きく変わることが求められます。議員間で議論を尽くし議決を行うこと、その過程が市民にも見えることになるのです。

 

高松市議会では、地方分権が進み、議会の役割が益々重要になってくることから、議会での議論を重視し、市民に分かりやすい議会となるために、今年度中に議会基本条例を制定すべく議論を重ねています。先日、これまでの議論をまとめ素案が全員議員協議会で示されました。その中で「会派」については、

 

第11条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成し、活動する。

3 会派は、政策立案、政策決定、政策提言等に関し、必要に応じて会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。

 

としています。

 

今回の騒動が、単なるポストを巡る争いだったと言われないためにも、市民にも見える変革が求められます。もちろん、市当局の対応も変わらなければなりませんし、厳しくチェックをして参ります。

 

「新しい朝が来た~!」