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明日への一歩

2015年8月21日金曜日

稼ぐ力と雇用力が人口を増やす

地方創生・地域課題解決型セミナー

講座1:「稼ぐ力と雇用力が人口を増やす」

講師:岡山大学経済学部 大学院社会文化学研究 中村良平 教授



本講座のエッセンスは、

①基盤産業を見出す。市場性・発展性が必要

②基盤産業の産業連関、域内の連関を構築する

③基盤産業の移出が伸びると、地域経済が成長することを意味する

④乗数効果として非基盤産業への派生需要が生まれる

⑤地域内で所得が循環し雇用が増える、地域が発展する

⑥雇用が増えると人口の転入、増となる(自然増)も

⑦接続可能にするには、移入転換(自前で供給できるようにする)の可能性を常に探る

 

人口増は、若い人の移入・自然増・移出減・元気な高齢者の移入などをつないで考えることが求められ、SNS等を活用し潜在的Uターン希望者を把握することや、中学校区で地域図鑑を作成することも必要である。

現在、人口獲得競争の気配となっており、大都市の魅力は消費機会の多様性があることであり、地方はこれに対抗することは無意味である。まちの特徴を活かしたライフスタイルを提供、(地域内の人材ローテーション)地域終身雇用性を構築する必要がある。

これまで、様々な地域活性化の補助金などが創られてきたが何も起きなかった。

経済は実物経済、金融経済がある。小売(BtoC)と卸(BtoB)はターゲットが違う。ほとんどの地方都市は卸機能が大きく占める。その地域の商材を成長著しいアジアへ売り出す(商社機能を発揮)ことが鍵。それはスケールメリット、ネットワークのメリットが必要であるから。

総務省のe-stat resas,、経済基盤モデル、都市階層理論、産業連関分析、都市分析などのデーターの見方は、①他市との比較・トレンド分析②因果関係を見る。(高齢化比率は年金比率と相関)、(所得が高いと小売り販売額は高くなるはず、商品の流入出が分かる)、(資本労働比率が高いと労働生産性が高くなるはず、資本装備率が高いと労働生産性が高いはず)これらのデータが示す差異を分析する。

規範的モデルと問題解決ストーリーが必要。経済基盤モデルとは、人がいないと成立しない産業、対人サービスや対事業サービス、派生産業を視る事。需要者が町の外にいる製造業(農林水産業)自然や天然の条件ストックがあって成り立つ。基盤産業があれば、非基盤産業もついてくる。基盤産業を見つけるには特化係数を見る。相対的な優位性を見ることが大事である。特に修正特化係数(世界市場との比較)を用いるほうが有益。小さくてもいくらでもある地域の基盤産業を見つけることが必要。更に、特化係数と雇用力(雇用割合)をマトリックスに分布して分析することが重要である。そして、その上に

①基盤産業の投入産業を確保できているのか?デマンドフロー

②サプライチェーンが地域内で形成されているのか?

③基盤産業のこれまでと将来性・基盤産業の再興・非基盤産業の連関・成長産業であるか?

 

高松市の分析では、卸売事業の修正特化係数が高く、雇用貢献度も高いこと。この機能を伸ばすこと。海外にも目を向けて販路の拡大を拡大することなど、圏域商品の圏域外への販路拡大が鍵となる。その為には、「もののインターネット化」や、空きオフィスの有効活用で事業化もキーワードとなる。地場のメーカに支店長などのアイデアを掛け算にするような場の設定も必要である。

2015年8月14日金曜日

支え合いの地域づくり・会派視察

2015.8.10 豊中市

【生活困窮者自立支援事業】

H25年、26年にモデル事業、豊中市は雇用労働部門でモデル事業を実施した。

生活困窮者への支援は通常、福祉部門が担うのが通例だが、豊中市は雇用労働部門が担ってきた。それは、地域就労支援センター(同和行政)をH13年からモデル事業として実施し、15年から本格実施したことが起因している。地域の中にいる生活困難者に対して支援を開始し、働きたいと思っているが就労に困難しハローワーク等での支援では就労にたどり着けない人をトータルでサポートする仕組みが必要として、取り組んできたことが基礎となっている。

相談に来たら要望に応える、無料職業紹介事業を開始。通常の求人市場に出てこない事業所(求人を出しても来ない、出すといっぱい来て対応できない零細企業)とのマッチングを行っている。ハローワークでは通常雇用の枠でしか募集されていないが、ここでは短時間などの柔軟な雇用形態を扱っている。基本は企業の応援団としての位置づけを行い、助成金制度は市では設けていない。最大の特徴は、出口を意識した就労支援で、約2~4割の就職を実現している。就労支援とはいえ、どの様なことに困っているかを正しく把握することが重要である。

現在、近隣の市町まで含む約3000社の企業情報をターゲットにし、その内900社が登録をし、300~400の求人が行われている。相談員14名を要し、募集、求人開拓は4名(企業で総務経験者などを嘱託職員として雇用)で行っている。実は行政は、介護保険の事業者や入札業者など企業情報は持っているのである。その事業者には勿論アプローチをかけて登録をお願いしている。

H23年に複雑な就労阻害要因を解決する取組み、くらし再建パーソナルサポートを開始し、一対一の相談対応では担えない場合にも、外部の専門支援チームと連携を図っている。

今後の課題として、真に支援が必要な方にサービスが届いていないことを挙げ、取組みを開始している。行政には本当に逼迫しないと来ない、早い段階での支援が出来れば、リスクが減少されるのである。行政は実は早くから情報を保有している。生活保護の相談窓口で至らず帰った人や公共料金の滞納者、生活給付金の対象者など、潜在対象者に少しでも早くから支援すれば可能性が広がる。滞納者への通知に相談窓口のチラシを同封するなど、庁内連携して対応することが効果的である。母子、非正規の女性や若者。今は生活できていても、病気などの機会で何時でも対象となる。この層へのメッセージを転職カフェや若者のしごと合同説明会などで発信していくことも必要である。H27年からは、くらし支援課を設け、組織を横串に貫いた連携の対応を開始している。

行政だけでは限られていることから、豊中市のもう一つの特徴である地域の中にアウトリーチする、CSWの取組みがある。

【コミュニティ・ソーシャル・ワーカー事業 CSW】勝部さん(市社協)

制度の狭間で困窮する人への対応が急務となり、H15年に地域福祉条例を根拠に義務付け事業を開始した。地区社協、民生委員による何でも相談を開始したが、専門性に課題がありその活動をCSWがバックアップすることが求められた。実際は阪神大震災が契機に、地域近所の助け合いがスタートし、見守りの取り組みが開始された。

市内を7つの生活圏域で地域福祉ネットワークを構築し、地域課題を行政の政策課題に引き上げる仕組みとなった。7つの小地域福祉ネットワークは、地区社協がベースとなり組織が形成されている。しかし、地域の交流を支える自治会が40%と低い加入率のため、ボランティアを部隊として福祉委員を作った。地域で100人~200人の見守りネットワークとなっている。それでもマンションの住民へのアプローチが弱く、管理組合に自治会機能を作る取組みとして、マンションサミットを開始した。

どうしても行政サービスを提供する側の行政が縦割りなので、制度をつなぎ解決をCSWが担う。個別の対応を重ねる中から、事例を踏まえ公民の解決プロジェクト(福祉ゴミ処理プロジェクト、徘徊メール)が生まれている。

最近、高機能自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障がいと診断される人が増えている。昼間の居場所づくりである、豊中びーのびーのプロジェクトをH23年から実施。自立支援の観点から中間的就労のメニュー(2時間働いたら1000円、500円)など就労体験の機会を作っている。

スーパースターであるCSWが居てもそれだけでは解決できない。地域福祉課によるライフセーフティーネット総合調整会議が行政側での後ろ盾になっていることが重要である。

 

8.11高浜市

【地域包括支援ネットワーク構築に関する取組み】


市役所の福祉部門と社協、民間、日本福祉大学で、福祉のことなら全て対応できる仕組み、ワンストップサービスを実現している。直営の地域包括支援センターに加え、障がい者支援などすべてに対応しており、H26年、福祉まるごと相談グループを設置。10月には権利擁護支援センターを社協に委託して設置した。

今後の課題として、福祉の行政サービスに辿り着かない人に、アクセス・アウトリーチする仕組みが課題。その為に、行政側でできることとして、早期発見と支援開始のために、メイビーシート(お困りごと相談シートを作成し、気が付いた所管で記入し、まるごと相談に繋げる)を作成し、連携を図ることとなっているが、実務上まだ浸透していない。地域からの声を拾い上げることも課題。その為には、まちづくり協議会との連携や地域包括との連絡が求められる。

協議会で情報の共有を図りつつあるが、個人情報との兼ね合いで課題となっている。メイビーシートやお困りごと相談活用のための切っ掛けが必要。(条例?)

新総合事業を今年度から、シルバー人材センターとデイ事業者が、まちづくり協議会の事業として実施。

 

8.12 和光市

【地域包括ケアシステムの実践・子育て支援政策「ネウボラ」】

福祉政策課 菅野


埼玉県南部は団塊の世代が一番多く住む地域であり、団塊ジュニアも多い。市の平均年齢が40歳、東京のベットタウンとして子育て支援の需要が多く重要であることから重点事業として取り組んでいる。

介護保険分野で成功した経験を保険福祉部全体へ、そして子育支援へと拡充してきた。サービスを一体的に提供できる仕組みがポイント

圏域のニーズ調査(実態や課題を把握する)を基に子ども子育て支援計画を策定。そして、個別の課題に対応する子ども支援会議。欠けていた母子保健コーディネーターによるケアマネジメントを重視している。このニーズ調査の中で個別記入式のアンケートを実施。未回収にアウトリーチ。

ライフステージの狭間、制度(医療・保健・・・)の狭間を埋めるのが和光版ネウボラ

特徴

・母子手帳交付の在り方を、地域母子保健コーディネーターにより手渡しし、つながりを設けた。

・産前産後から訪問ケアを実施し、安心した出産・子育てを構築

・コミュニティケア会議を中心に他制度・他職種の連携を実現。

・保育・子育て支援だけではなく、家庭支援の視点。

・H26年に福祉政策課を設け、総合相談・調整をできる体制を整備した

・因子分解によるアセスメントを実施

・将来的には保健師にもアセスメントの診断できるようにする。

・ケアマネ一人がエリア200名を担当し、困難事例30人をカバーすることを想定規模

・アウトリーチの手段としてホームスタート事業が鍵