gnav

  • facebook

明日への一歩

2017年12月21日木曜日

H29年12月議会 一般質問から①「災害時要援護者への支援体制」

「水は低きに就くが如し」との孟子の言葉ではありませんが、大規模な災害時ほど立場の弱い人に被害が集まることが繰り返されています。平成16年に発生した風水害で高齢者が多く犠牲になったことを契機に、災害時要援護者名簿の作成や避難支援の取り組み方針の策定などの対策が進められてきました。しかし、その後の東日本大震災などの災害時でも要配慮者への支援が十分に行き届かなかったことを受け、平成256月に災害対策基本法の一部改正を行い、高齢者、障害者、乳幼児等の防災施策において特に配慮を要する方のうち、災害発生時の避難等に特に支援を要する方の名簿の作成を義務付けること等が規定されました。
本市においても、災害時要援護者支援制度を設け、コミュニティ協議会、自治会、民生・児童委員・地区社会福祉協議会、自主防災組織、避難支援者など地域と市、防災関係機関が連携して「災害時要援護者台帳の登録」などその対策を推し進めて参りました。しかし、現状ではその目的が果たされているとは言えません。平成28年台風10号による水害で、岩手県岩泉町のグループホームが被災し入所者9名が全員亡くなったことを重く受けとめ、高齢者等が避難を開始する段階であるということを明確にするため、それまでの「避難準備情報」を「避難準備・高齢者等避難開始」に名称変更が行われました。しかし、今年の18号台風時(市内全域に「避難準備・高齢者等避難開始」、74,967名に「避難勧告」情報が発令)に本市で避難所に実際に避難した人は僅か191名です。「避難準備・高齢者等避難開始」が出された折に、果たしてどれだけの要援護者に対し「声掛け」が行われたのでしょうか。
私は地域コミュニティ協議会の防災部会長を引き受け、国や市が目指している防災事業が実際に地域で実現できるよう取り組んでいます。昨年度の校区での訓練から、避難所開設マニュアルの整備と、その手順に沿った訓練を行いました。今年度の訓練では、より実践的な修正を加えることと、この要援護者への連絡体制の構築を大きなテーマとして取り組んで参りました。しかし、この要援護者台帳の登録・更新、そして避難を行うためには、もちろん本人家族だけでは行えず、自治会や自主防災会、民生委員などが連携協力を行い、地域が一体となって取り組まなければ出来ないのですが、あるべき姿・想いと現場とには大きな開きがあり、粘り強く取り組まなければ出来ないと感じています。
本市では、災害時要援護者台帳の登録は健康福祉総務課が、地域での防災体制の構築は消防局予防課が、災害時全般を危機管理課が担っておりますが、一体となった明確な目標と、実現までの工程表を明確にしなければ、大規模災害時の被害を減少させるという目的は果たせません。本市の「市民及び地域の防災意識と防災力の向上」の事務事業のひとつが「地域防災対策事業」となっております。成果指標として「地域防災リーダー養成セミナー受講者数」を掲げておりますが、私はここに「災害時要援護者支援体制の構築」を目標に掲げ、早期に「避難準備・高齢者等避難開始」情報が発令されたときには、全ての要援護者に対して「声掛け」が行われる体制の構築を行うとするなど、具体的な成果指標を設け、推し進めることが必要なのではないかと考えます
 
そこで早期に災害時要援護者支援体制を構築することを強く求めました。


大西市長の答弁

ご指摘のように多くの地域においては支援者や支援団体が明確に決められていないため、災害時要援護者、個人に対する非難の呼びかけや安否確認などの支援にまでには具体的に至っていない状況で、関係団体間の連携など解決すべき課題がある。
私は災害時要援護者への支援対策は大変重要な取り組みと認識しており、今後、地域コミュニティ協議会や自治会などからも状況を確認した上で、これらの課題を確実に解決できるよう、支援体制について検討したい。


2017年7月21日金曜日

早稲田大学×地域議員研究会 共催セミナー

早稲田大学環境総合研究センター 研究院准教授 永井祐二

「市民と創る地域ポイントシステムの実例と応用」

貨幣が不景気のため流通せず滞ってしまう。そのような中、地域内の相互支援手段として地域通貨が発生。海外地域通貨の事例:イサカアワー(アメリカニューヨーク州の北西部にある人口3万人の町:10ドル=1アワー)千人以上の個人会員と400の企業の参加のもと、200万ドル以上の経済効果があった。地域の富を循環させるために新しい仕事を作り出すに至っている。日本にも地域通貨のブームで現在第二次地域通貨ブームとなっている。地域通貨全リスト(http://cc-pr.net/list)で紹介されている。地域通貨が日本的発展を遂げており、流通地域の経済活性化という意義を超えて、福祉・介護・育児、街づくり、環境、教育 等を評価付けし地域問題の解決、地域コミュニティの再生まで発展しようとしている。
交換される対象として①サービスだけを交換②サービスとモノを交換2通りあり、対象がサービスだけであれ、モノを含むものであれ、交換の際の基準がないと地域通貨は機能しない。その基準となるものが①誰でもが平等にもっている「時間」を単位とする②サービスやモノの内容という「経済的な価値」を単位とする。
 今、バウチャー制度(政府の補助金が利用者個人に直接交付され、利用者が希望する施設を選択し、提出されたバウチャーに基づいて政府が施設へ代金を支払う)が普及してきており、ポイントとの連動が模索されてきている。
「北九州市の環境パスポート」「高知県交通エコポイント」その他都市と地域をつなぐモデルや横浜市のウォーキングやボランティアなどの継続的な取り組みをポイント化するモデルが紹介された。
近年、共通ポイントが熾烈な競争の中にあり3社に集約されつつある。そのことによって地域独自のポイント制度の魅力が削がれている。交通系ICカードや携帯端末にNFC(ICカードリーダー機能)がついたことを利用し、初期投資不要のシステムが開発されている。複数のポイントを管理(ココカポイント等)
今後、マイナンバーカード制度を活用した地域経済応援ポイント制度も出てくるが、セキュリティの問題が足かせとなる。交通系ICカードとの連動に活路がある。

「地域が豊かになる民泊の実例・基礎知識」

インバウンドの増加により、宿泊施設が不足。オリンピックに向けて施設の量の確報の観点で民泊に注目が集まっている。訪日外国人観光客増加のへの期待、農村漁村滞在型余暇活動、地方創生、シェアリングエコノミーの台頭。厚労省はこれまでも規制緩和をし、簡易宿泊所や農林漁家体験民宿なども設けてきた。更に国家戦略特区もある。
その様な中、民泊新法が施行。都道府県知事への届け出や年間提供日数180日の制限が設けられた。本来日本版DMOの役割で、単なる民泊ではなく多様なサービスを提供することが求められる。民泊はいわゆる旅館ではない。泊まる場所を提供するのではなく地域の良さをアピールすることが重用である。
空き家の改修はハードルが高い。あまりお金をかけずにやることが肝要。食事は利用者と一緒に調理することで食品衛生法から逃れられる。
緑の分権改革の枠、地方創生枠の上乗せ、農水省の補助金(農山漁村振興交付金)などを活用することも検討。

2日目 
㈱早稲田大学アカデミックソリューション
早稲田大学スマート社会技術融合研究機構 井原雄人

「地域公共交通の基礎知識」

 公共交通空白地の深刻化(人口比5.8%
地域公共交通に求められる役割①地域住民の移動手段の確保②コンパクトシティの実現③まちの賑わい創出や健康増進④人(来街者)の交流の活発化。
改正地域公共交通活性化・再生法(2014年):第4条で国・地方公共団体・交通事業者に努力義務や区域を超えた広域的な取り組み(必要な範囲で)を求めた。(地域公共交通網形成計画(総合的なネットワークによる多様なサービス)、再編実施計画、事業・協議会による規制緩和が可能)。(武蔵野市・三鷹市ムーバス)
地域の特性に合わせた事情需要に応じて多様な交通形態を選択。公共交通会議で合意が得られれば事業者によることが困難な場合、自家用自動車による有償運送(市営バスなど)。
地域の事例:兵庫県豊岡市、多様な交通により生活交通ネットワークにより利用者15万人が6万人に減少、10万人まで回復。熊本市、市営バスと民間が役割分担をして路線再編。
近年高速バスの需要が伸びているので、統計数字には注意が必要。
自家用有償旅客運送:デマンド運行(区域運行)。①迂回ルート型②*一部区間デマンド型③設定ダイヤデマンド型④区域型がある。
規制会議により公共交通会議による協議合意により、営業区域の隣接営業区域でも可能。
安全確保の対策は必須。地域公共交通の維持を社会の仕組みに置き換える、赤字路線を維持するためにこれまでは事業者の内部補助で賄っていた。愛知県瀬戸市(町内会費アドオン)。自己負担と協賛の割合をとことん話し合う。関係者が目的を共有して本音で議論。

「地域公共交通を守る工夫の様々な実例」

北九州市枝光地区の取り組み(やまさか乗り合いタクシー)。走行ルート:1周4k前後5ルート62便で運行(バスを何分待てますか15分)年間利用客89,000人。効率的なルート設定と事業性の確保。5名程度以上の平均用者数を確保するルートと運行密度により事業採算性を確保。利用者が350/日を超えるまで6か月間を要し、認知度を確保するまで高齢者を含めた地域住民への周知期間が必要。空き店舗などを活用し人の集まる場所づくり。結節点の整備と穏やかなデマンドがポイントである。

 低速電動バスの事例や観光との連携の取組みが紹介された。

2017年7月7日金曜日

議会質問から② 「未来を担う人づくりについて」

平成29年高松市議会第3回(6月)定例議会の代表質問から

今回の代表質問は、情報技術や科学技術の劇的な変革により大きく様変わりを遂げようとする中で、10年後、20年後の高松の未来に焦点をあて「まちづくり」やそのまちづくりを担う「人づくり」など大きく9項目にわたり質問をしました。

大項目9 未来を担う人づくりについて

この春に目にした、県内の2つのニュースが心に引っかかっていました。一つは、四国新聞が県内200社に行ったアンケート調査で、業績が良く採用拡大を続けても人手不足を解消できない実態が明らかになったとし、人材難の深刻さを伝えるものでした。二つ目は、香川労働局のまとめで県内高卒者の4割が3年以内に辞め、その半分はわずか1年で離職をしており、その理由は「仕事が合わない」「条件が不満」が目立つというものでした。いくつものミスマッチが、私たちの住む高松市で起こっているのです。
 私たちは往々にして私たちが過ごした経験を基に、子供たちを指導しているのではないでしょうか?私たちの経験したことは、私たちの親や祖父母が経験してきた道でした。しかし、子供たちが今立たされている社会、これから生きる社会は私たちが経験してきた社会とは大きく違ったものとなろうとしています。一生懸命真面目に勉強して良い学校に進めば良い企業に就職でき、「終身雇用」、「年功序列」、「企業内組合」という日本的経営に守られ、幸せな人生を歩むことができるとの幻想は既になくなっているのです。経済・産業界は20年以上もまえの1995年に「新時代の日本的経営」として、その雇用形態を「長期蓄積能力活用型グループ」「高度専門能力活用型グループ」「雇用柔軟型グループ」の3つに分けると発表しているのです。一部の幹部候補生以外は終身雇用ではなくなるというものなのです。現に社会に羽ばたいた若い人の4割近くが非正規雇用となってしまっているのです。そして情報化社会や人工知能の発達による激変が迫っているのです。
 しかし、2015年の家計調査によれば、高松市の家庭は塾への出費が全国の2倍とのデータが示しているように、親の意識は相変わらず「良い学校を出れば」との意識が強く、現状の社会環境と大きく隔たりを見せています。今年の小学校の卒業式に参加して頂いた栞に、子供たちが将来なりたい職業に「ユーチューバー」と書いている子が4人もいて驚きました。子供たちのほうが柔軟に社会を見ているのかもしれません。
このような変化の中で、一人一人が「生きる力」を身に付け、将来直面するであろう様々な困難に、柔軟かつたくましく対応する力を高めることが重要な課題となっています。それ故に、社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てるキャリア教育の推進が強く求められているのです。こうした状況を踏まえ、文部科学省では平成277月の中教審における論点整理を受け、学習指導要領の改定に向け、すべての教科等の内容改善においてキャリア教育に関する資質・能力を培うことを意識するとともに、小・中・高等学校のそれぞれの総則にキャリア教育の視点を明示する方向で検討が進んでいます。
 高松市の教育指針でもキャリア教育の推進を明示し、様々な取り組みを行っていますが、これまで述べてきた深刻さやリアリティを持って、指導がなされているとは言えません。総合学習の中での職場見学や体験学習を実施することで精一杯なのが現状です。国立教育政策研究所が平成24年に実施した「キャリア教育・進路指導に関する総合的実体調査」では、キャリア教育の重要性やその効果が学習意欲の向上につながることの認識は高いものの、キャリア教育に関する研修会の実施があまりなされていないことやキャリア・カウンセリングの活用方法が分からない、評価の方法が分からないとする結果が示されています。本市では進路指導部会での情報交換や指導を行っているようですが、十分ではないと考えられます。
 また、本市では昨年「高松子ども宣言」を掲げ「ふるさと教育」の推進も行っております。しかし、地域の伝統文化を学んだり、「寛学」などを通し郷土の偉人を学ぶ学習となっていますが、今求められるのはこれからの高松で暮らすことの魅力であり、豊かさを伝えるいわゆる「高松教育」なのではないかと考えています。

このようなことから、未来を担う人づくりにおいて今行われている「キャリア教育・ふるさと教育」を改善するように指摘しました。

学校教育の現場だけで「キャリア教育」を担えるものではありません。私はこれまでキャリア教育への取り組みは、地域を挙げて推し進めるべきとして繰り返し議会で取り上げ、高松市こども未来館を拠点として実施することを提案して参りました。
今年の3月、いろいろな仕事が体験できるイベントとして「おしごとスタジアム2017」が開催され、2000名を超える参加を得て大盛況だったようです。こども達があこがれの仕事にチャレンジし、楽しみながら社会のしくみを学ぶことができる「こどもが主役の街」として大人気のキッザニアのミニ版となる取り組みで、今後も継続発展させていくことを強く望んでいます。第1回目となったこのイベントは、プロポーザル方式で市内の職業専門学校が提案し実施されたもので、19職種のおしごと体験が行われておりました。短期間で良く準備ができたと感心をしますが、この体験する仕事のパートを直接地域の事業者が担えるなど、市内の商工業者団体や青年会議所などが参画して取り組めるようになればと考え、市民協働のキャリア教育を一層進めるべきだと提案しまいた。

教育長は、学習と実社会とのつながりを意識する学びの機会を設け、自らの将来を結び付けて考えることができるよう、研修の充実に努めること、またふるさと高松に誇りと愛情を持ち、地域社会に生きる喜びを感じて郷土づくりに主体的に関わることのできる子どもたちの育成に努めたいと答弁されました。また市長からは、市民協働のキャリア教育の実施に取り組んで参りたいとの答弁されました。

本当に、大切な課題です。今後の高松市の取組みをチェックし、議会でもしっかりと問題を共有し、未来のための議論を重ねていきたいと考えています。


2017年6月29日木曜日

議会質問から①「地域共生社会の実現」

平成29年高松市議会第3回(6月)定例議会の代表質問から

今回の代表質問は、情報技術や科学技術の劇的な変革により大きく様変わりを遂げようとする中で、10年後、20年後の高松の未来に焦点をあて「まちづくり」やそのまちづくりを担う「人づくり」など大きく9項目にわたり質問をしました。

大項目4「地域共生社会の実現について」

 これまで我が国の公的な福祉サービスは、高齢者・障害者・子どもといった対象者ごとに、典型的と考えられるニーズに対して専門的なサービスを提供することで、福祉施策の充実・発展に寄与して参りました。しかしながら、介護保険法、障害者総合支援法、子ども・子育て支援新制度など、各制度の成熟化が進む一方で、人口減少、家族・地域社会の変容などにより、既存の縦割りのシステムには課題が生じています。具体的には、制度が対象としない生活課題への対応や複合的な課題を抱える世帯への対応など、ニーズの多様化・複雑化に伴って対応が困難なケースが浮き彫りになってきています。
本市においても今後、行政やサービス提供側の人材確保の面から、従来通りの縦割りでサービスをすべて用意するのは困難となってくることも予想されています。今般、一億総活躍社会づくりが進められる中、福祉分野においても、これまでの価値観を転換し、福祉は与えるもの、与えられるものといったように、「支え手側」と「受け手側」に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュ ニティを育成し、公的な福祉サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる「地域共生社会」を実現する必要性が高まっています。
具体的には、「他人事」になりがちな地域づくりを地域住民が「我が事」として主体的に取り組んでいただく仕組みを作っていくとともに、地域づくりの取組の支援と、公的な福祉サービスへのつなぎを含めた「丸ごと」の総合相談支援の体制整備を進めていく必要があります。また、対象者ごとに整備された「縦割り」の公的福祉サービスも 「丸ごと」へと転換していくため、サービスや専門人材の養成課程の改革を進めていく必要があり、これらの具体策の検討を加速化するため、国は平成287月に「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部を設置し、取り組みの推進を開始しています。今年度の予算では「地域力強化推進事業」や「多機関の協働による包括的支援体制構築事業」が出ていますが、本市もこれらの事業を有効に活用し、対策を講じる必要があります。

私は、この地域福祉の推進について平成2712月議会で代表質問を行いました。
本市では、高齢社会に対応するために「長寿福祉課」「介護保険課」「地域包括支援センター」のそれぞれの課が連携を図るために「長寿福祉部」を設け連携強化を図ってきました。また、長寿福祉課の中に「地域包括ケア推進室」を設け医療と介護が連携して住み慣れた地域で生活ができるように調整する体制整備を行ってきています。
しかし、介護保険法の改訂により、要支援1.2など介護予防の事業が介護保険制度から自治体に移行されるなど、行政サービスで全てをまかなえないとして、元気な高齢者など地域の人財の力を借りてこれからの高齢社会を乗り越えようとしています。そこで重要になってくるのが「社会福祉協議会」や「民生委員」などです。しかしこれらの役割を所轄するのが「健康福祉総務部」と違う部署であることから整理が必要なのです。ましてや「地域包括ケア」の役割が高齢者だけではなく、「地域福祉」全体へと拡充されて・丸ごと担うことが求められようとしているのです。そこで、「地域包括ケア推進室の機能と役割を地域福祉の充実まで担うべきだとして再整理することと、福祉政策機能の強化」を訴えて参りました。
大西市長の答弁でも「地域福祉課題が多様化・深刻化している認識を示され、その対策が急務であり、本市に適合する対応策を検討する」と述べられていました。
1年半を経過し、今般の国の新たな動向も踏まえ、地域共生社会の実現に向けた今後の取り組みを質しました。

市長からは改めて、『多様化・複雑化する福祉ニーズに的確に対応していくためには、個人や世帯が抱える複合的な課題に、公的支援が分野を超えて総合的に行われることが必要だ」との認識を示されました。本市では「総合センター」に子育て世帯包括支援センターと地域包括支援センターを併設し、妊娠期から子育て期までの切れ目のない相談者への支援のほか、ダブルケアが必要な人への支援や高齢者への支援を連携して行おうとしています。また、個別事案について関係機関の多職種が連携して解決に向けた検討する「地域ケア小会議」を開催している現状を報告されました。更に、今年度障がい者や高齢者からの多様なニーズに一体的に対応できるように「基幹センター」を設置し、相談支援体制の充実を図ることとしています。(この基幹センターの必要性も過去に提案しました!)
このように総合的な支援体制が整いつつありますが、関係機関や地域との連携を一層図るために、包括支援体制の構築に取り組んで行きたい との答弁がなされました。





2017年6月23日金曜日

高松市議会の改革

本日、高松市議会の平成29年度第3回(6月)定例議会が閉会しました。

議員として3期目(10年)を経て、これまでに議会について大きく疑問を持ち
変革が必要だと感じ続けていることがあります。

それは、議会活動の華??とも言える 議会での質問についてです。

10年前に初当選し、何も分からない中でいきなり最初の6月定例議会で一般質問を行って以来、悩みながら取り組んできているのですが、どうにも納得がいきません。

意思決定支援業(経営コンサルタント)という仕事を経て議会にきたので、余りにも現状の質問を聞いている時間が苦痛です。いったい何の為に質問を行うのだろうか???と

市民からの相談や対話、政務調査活動の中で気づいた事柄、市政運営についての問題点を指摘し改善するために貴重な時間を費やすものと考えるのですが・・・。そうでないことが余りにも多いのです。40人の議員と市長を始めとする多くの職員の時間を費やし開かれる議会です。すごいコストなのですよ!限られた時間なのですよ!

許せない質問の代表3点

①市政に関係ない質問
 「アベ政治の***がダメだ、市長はどう考えるのか?」
 それは市長に聞いたってだめでしょう!パフォーマンスに時間を割いている場合ではありません。市議会は市政運営について質す場です!

②お伺い質問
 「雇用が大事です、企業誘致の状況は?」????
 本当に良くあるのが、単なる質問(question)。数や状況を大切な議場で聞かなくても、資料(市政概況や各種計画)を見たり、日常で担当者に尋ねれば分かることです。問題点を浮き彫りにするために数や今後の取り組み方針などの状況を聞くのはいいとしても、そこで終わってしまえば、貴重な時間を費やして教えてもらっているだけです。現状をしっかりと認識したうえで、今行われている市政運営の問題点や改善点を指摘することが必要なのではないでしょうか。

③同じ質問
 単なるお伺い質問の上に更に質の悪いのが、以前他の議員が質問した内容を、何の再調査や提案もなく質問すること。今は高松市議会のホームページからhttp://www.kaigiroku.net/kensaku/takamatsu/takamatsu.html で、平成3年以降の質問内容が原稿で見ることができます。キーワード検索もできますので、気づいたことについて検索すれば、過去にどのような指摘がなされ、市はどの様な対応を行おうとしているのかも答弁を見れば分かるのです。
 もう一つの同じ質問は、質問でのダブりです。代表質問は市政全般について会派を代表して質すので、旬の話題(決算見込みなど)が被ってしまうことは仕方がないのですが、答弁は全く一緒なので4回も5回も全く同じ言葉を聞くのは、時間がもったいないと感じています。

民間の会議とは違い、議会は議員が市民の声を背負い質問を行う場なので、全く無駄なく効率的な運営とまではいかないまでも、「市民の福祉の向上」を目的にするのなら、議員同士がお互いに律して質の向上を図るべきだと考えます。議員は選ばれてきているので何を聞いても自由だ!ではいけないのではないでしょうか。

これまで沢山述べてきましたが、市民から見れば「待機児童が問題だ」とのニースで聞くようなお伺い質問は、分かり易く、とっつき易いのだろうなと思い、悩ましいかぎりです。

議会改革が叫ばれる中、「質問は何のために行うのか?」との根本に立ち返って議論を行う必要があります。

議会の役割は、二元代表として合議の上で市長を中心とした行政運営をチェックすることと、足らざることを提案(政策提案)すること、そして議論の過程を通じて、争点を市民に分かり易く説明することのはずです。ひとりの議員の質問(気づき)が、そのまま市政運営の改善につながれば一番効率良い働きとなるのでしょうが、そうは簡単にいきません。それでも市の方針(答弁)を皆が聞いて、その事を議会で議論し、様々な立場に立って意見を交わすなかで合意形成を図ることが大切なのだと思います。

高松市議会で一番欠けているのが、この議論する「場」だと思います。
議員一人ひとりが行政に対峙しているのでは、議会ではありません。

発言回数や時間に制限があるといったことなど沢山の課題があるが、
何より根本の議論をしたいものです!
昨年度は私は、議会運営委員会の副委員長として、何度もこのことにトライしたのですが力及ばす進みませんでした。残念ながら今年は議会運営委員ではありませんが、あきらめずに挑みます!

2017年2月15日水曜日

「政策議会」について学ぶ


主催:㈱地方議会総合研究所
2017.2.15 京都テルサ:
師:土山 希美枝 龍谷大学教授

「政策議会」と市民参加 議会改革の「めざすところ」をとらえる
 事業が市民に対し信託するアウトプットである。議会のコミットが求められているはず。
            
1.政策・制度と自治体
(1) 市民と社会とのネットワーク
 暮らしに身近な取り組み(事業)は政策と制度によって成り立っている。課題状況を何かの目的をもって手段を設定する=政策(policy)。その政策の担い手は多様化し密接に絡み合っている。
(2) 都市型社会の「市民の政府」自治体の役割
 市民に必要不可欠な政策を整備する。自治体政策の最小単位は事業である。
2.政策議会とは何か
(1) 信託の実体としての政策・制度=自治体が行っている事業をより良くすること。
何が「必要不可欠」なのか、効果的なのか正解がないため「議論」で「決断」するしかない。「政策議会」とは市民により良い政策であるべく制御する主体である。
(2) 議会の機能=多様な意見を公開のヒロバで議論し、集約し決定する。内容と手続きの正当性と公開性が重要で、それを見える化できるのが議会である。監査機能と政策立案機能。
(3) 二元代表制「議会だからできること」
課題は無限であり、資源は有限である。複数の選択肢の中から議会が決断する。
2000年の分権改革で議会の監査・監視の範囲が広がった(基幹委任事業)。
3.「政策議会」の議会力を発揮する
(1)  議会改革の「本筋」=議論*(参加+情報公開)。
議会の5課題①政治争点の集約・公開②政治情報の整理・公開③政治家の選択・訓練④行政機構の監視⑤政策の提起・決定・評価
   議会はチームになれるかが重要。議会力=(議員力の総和)*x
(2)  議論はなぜ盛り上がり、なぜ盛り上がらないのか。事実という「情報」を共有し、「争点」に対する異なる意見を集約する「必要とヨロコビ」ある議会になる。
(3)  「争点」と「機会」をデザインする。
4.政策議会の市民参加
(1)  議会報告会と意見交換会、心が折れない「議会報告会」=報告から対話へ:目的と価値観を転換する。「争点」と「機会」のデザイン
(2)  政策議会の市民参加
 争点を議論する多様な手法、ワークショップ、ワールドカフェ、沖縄式(課題共有型)地域円卓会議 (CiNi)。発話のハードルを下げる(アイスブレイク)。
 岐阜県御嵩町・議会住民懇談会での問いかけ。どの案を選択するかだけを聞くのではない。
5.自治体議会の再構築 「もやい直し」のために
議会報告会から意見交換会への転換が必要である。参加人数を目標にするのではなく、参加者の満足度を問うべきである。その為には意見を吸い上げる「発話」の機会をつくる機構が求められる。全体的な説明ではなく争点を絞って行うことも必要。告知の方法を多様化。
先進事例:熟議、市民相談会(三田市)。議決権は拘束されない規定。政策をめぐって議論、議会の在り方をめぐって議論をはじめる。


「質問力でになう「政策議会」~一般質問の機能を発揮させる~」

1.たかが一般質問、されど一般質問
 標準市議会規則62条に「質問することができる」と規定、地方自治法には記載がない。
 議員は市民の生活課題を解決するために、選挙を経て議会に出てきているはず。その議員個人の政策的な関心や我が町の政策に対し、質すことができる場が一般質問である。それは、市政に対する監査機能や政策提案機能を果たす重要な機会である。
2.一般質問のしくみと機能
(1)  監査機能:行政がなすべきことを適切になしているかをチェックする。「こうあるべきだ」との方向性を示し質す。
(2)  政策提案機能:効果の検証や手法の評価・提案、とりあげられるべき施宇作課題を提起する。
(3)  一問一答かどうかよりも、持ち時間、再質問の回数、答弁調整の濃度が重要。問題意識が擦り合わないと議論が嚙み合わない。
3.一般質問が持つ課題の現状と背景
(1)  残念な・もったいない質問:窓口質問、論点を盛り込みすぎ、個別的すぎる、合理的な根拠や論拠のない、国や県の政策や事業で自治体が感知できない
(2)  無謬の行政という幻想:執行機関のメンツを潰すことになっている。議会と執行部が相互依存関係にある。議会不要論につながる。
4.機能する一般質問のために
(1)  論点整理:質問と目的の確認(なんの為に問いただすのか)
 論点は事実と意見、意見は分析と主張により構成されている。事実の共有が重要。最低限その質問で聞き出すことを確認する。
 監査機能を果たすための準備:制度や状況の整理・確認。
 政策機能を果たすため:他の課題に優先して対応すべき正当性、実現可能性を形にする。
(2)  情報収集
 現場で困っている市民生活の現場、それに対応する行政の現場、聴くことと聴く力の重要性。①基礎争点情報、レファレンス共同データベース、国立国会図書館②基礎情報elen③専門情報 CiNii、図書館収蔵文献情報
(3)  答弁調整は何が問題なのかが伝わり応答が噛み合わない事態は避ける。
  分かり易く15歳にでも分かるものとする。
5.政策議会の資源としての一般質問
いい質問をしても制度にいかされない=議員ひとりぼっちにしない。
複数の議員が同じテーマについて異なる論点や視点で質問を行う(議員間連携)。追加関連質問(尼崎市)、追跡質問。
議員質問の中から議会としてとりあげ、委員会の所管事務調査とする。委員会で協議して、とりまとめ、全員協議会で議決する。
先進事例①北海道美幌町は、全員協議会の3分の2で首長に提言。一定期間を得て報告をさせる。②芽室町は、自由討議時に一般質問のその後を追跡し、議会だよりで知らせる。③会津若松、多治見 議運で質問調整。④福岡県田川市「検討します」答弁についてその状況報告をさせる追跡型。

質問に対する追加資料をA4表裏で作成し配布したり、パワーポイント見て分かる資料・通告書にすることも考えられる。

2017年2月13日月曜日

政務活動報告:第19期自治政策特別講座「予算議会に備える」

19期自治政策特別講座
「予算議会に備える」 2017.2.22.3 神奈川県民ホール

1講義「自治体の長期ビジョン策定と議会の役割」
     総合的な計画審議のあり方 
     牛山 久仁彦 明治大学政治経済学部 教授

総合計画(自治体の長期戦略が明らかにされる)に議会がどのように関わるのか?が問われる。地方自治では地域の課題を解決する使命がある。分権一括法では、法定受託事務であっても議会で審議して良くなった。(1条第2①項「地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。(設置義務)」)しかし現場では今でも国の縦割り行政の慣習のなかで、総合的ではない。
 自治体政治は共和主義(住民が直接選択する)である。「二元的代表民主制=機関競争型」
自治体の計画=自治体の将来を計画する(総合計画から各分野計画)。そのため、議会の関与が重要である。

2講義「改正された介護保険制度―予算審議の焦点は」
    鏡 諭 淑徳大学コミュニティ政策学部 教授

介護保険制度とは介護福祉制度ではない。給付と負担のバランスをどうするかが重要である。給付の縮減と負担増のトレンドの環境下で、狭間を女性や退職後の高齢者の活用により埋める「地域包括ケア」が求められている。
保健制度は、保険料を納めることによってサービスを受ける権利を得る(普遍的な制度)ことであり、福祉制度は限定的なものである。保健者7700万人に対し、利用者が605万人。92%が負担のみの状態であることを認識しなければならない。
年間10万人の介護離職者が生まれ、290万人が働きながら介護をしているなかで、給付水準が削られると、更なる離職者増がもたらされる。介護保険の改正(2015年第6期)によりサービスを見直し、地域で頑張れ!と言っている。
 総合事業の実情は、事業者が負担増。多様な主体は15.5%で低調。地域支援事業も給付管理をしないといけないので大変。課題は、報酬や委託料の払い方、実施指導や事務監査、個別サービスの金額等の項目等を要綱で対応しているが、条例化する必要がある。更に、利用者への不安解消のためには、権利関係を明確化する必要がある。
2018年改正をむけた議論では、「給付を少なくする。社会増の6400億円を5000億円に圧縮する」方向性が示されている。これにより、介護報酬だけで生活援助が賄えなくなるなかで、自治体間格差が生まれる。要介護1,2のスタートは認知症。ここにボランティアが関わることが本当に大丈夫なのか。社協や直営のサービスが求められることが予見される。

3講義「再生可能エネルギーの地域経済効果―地域継続可能性の確保とは」
    倉坂秀史 千葉大学大学院人文社会科学研究科 教授

持続可能性を巡る状況、人口減少・高齢化のインパクトが激大。これにより社会インフラの更新が困難になる。一人当たりの維持経費における地域間格差が広がる。人口が減ることによってインフラは花火のように薄くなって消えていく。人工林を維持するには60万人必要(現在5万人)。人口減少下で各種資本基盤をいかに維持更新する、費用を生み出すのか、ストックを戦略的に削減していくのかが求められる。
資本基盤管理原則、閾値がある。踏み越えないように手入れする必要がある。
産業、域外に顧客を持ち外部から域内に収入をもたらす産業(成長部門)と資本基盤の手入れを行う持続部門。自治体はこの持続部門を支えなければならない。
産業構造シミュレーターにより将来の想定をして対応を図る。中高生による「未来ワークショップ」の開催(やちよ未来ワークショップ=125万円で)。
エネルギー、排熱を徹底的に排除する分散的エネルギー供給構造に変わる必要がある。
ダイナミックプライシング、電力需給を把握できる次世代電力系(スマートメーター)の設置により実現(2020年代)。都市計画の中でエネルギー供給を位置づける。熱電管の設置やトランスヒートコンテナなどを計画(岩手県紫波町オガールタウン)。
これまで域外に支出をしていたエネルギーを取り戻せる(21万円/世帯)。再生可能エネルギーは地方創生のカギである。(群馬県中之庄町、岩手県住田町、真庭市等、飯田市の再エネ自治体条例を参考)。http://kurasaka.world.coocan.jp/ 参照
持続期の経済社会での経済指標は、人口資本、自然資本、人的資本、社会関係資本。
フローマネジメントよりもストックマネジメント。
 

4講義「わかりやすい公会計の基礎―公会計の発祥と現状」
    亀井孝文 元 南山大学総合政策学部 教授

法体系はフランス式、カメラル簿記(ドイツ)=予算と執行額を一つにまとめる を採用。
現行制度の問題点、現金と物が一致しない。会計区分、一般会計(共通の財政)。現金主義・発生主義(几帳時の確定時の価値計算)、実態は現金収支会計である。
予算に対する決算の取り扱いが軽視されている。
予算編成時にはフルコストで編成すべき。減価償却と建設公債主義の溝がある。
前年度予算編成時に単コロがあったのかどうかチェックする。出納整理期間の問題。
地方公監査=アングロサクソン系(保障型監査)

5講義「自治体ICTの意義とコスト 予算審議のチェックポイント」
    小林 隆 東海大学政治経済学部教授

基幹フレームからの脱却をしなければならない。
現代は情報・知識を誰でも手に入れられる環境となった。「最近気づいていないことに気づき」、自分の関心のある経験による検索(外部参照系)と外部入力系による気づき(入力系)の両方が必要。これにより不確実性の低減が図られる。
ネットワークの3つの性質 ・クラスター性・スモールワールド性・スケールフリー性、クラスターを守りつつ適度なスケールフリー(成長)性を発揮させる 性質がある。
日本の地方を観ればこれから起こることが予見できる。そのために情報自治のためのシステムを活用する必要がある。
自治体ICTとセキュリティ、メーガン法から考えるべきことは、必要性を社会が認めたならば、プライバシーに関わる個人の利益、不利益の発生を予見しながら個人情報を提供する範囲を明文化して運用するしかない。
効率性のシステム予算より、負の分配に備える予算にしなければならない。