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明日への一歩

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2018年2月15日木曜日

未来を見据えた若者支援と親支援の充実を目指して


  ~福祉と教育への社会投資が自治体にもたらすベネフィットとは~

家庭教育支援センターペアレンツキャンプ 代表理事 水野達朗 氏

「大人のひきこもり問題を考える」

~10年後の自治体に影響を与える若者支援について~

「ひきこもりは」生物・社会・心理モデルにあてはめ、様々な要因が絡み合って引き起こされるものである。思春期の発達課題への停留が要因とされ、その特徴は「欲求を出せない、満たせない、自信がない、社会参加できない、乗り越えることができない。」があげられる。そして、親が健在の時は問題が顕在化しない場合が多い。
 ひきこもりの長期化が大きな課題。H28年調査の推計は広義で54.1万人(予備軍を含めると約155万人)しかし、未回答が多いことと、40歳以上が含まれてない為、もっと深刻。ひきこもりが続くことで、社会とのつながりが断たれ、社会的貧困の状態に陥ってしまう。最大の課題は、出口(就労)の困難さである。

 合理的な社会投資としての若者支援(SROI 社会的投資収益率)に着目すべきである。
 生活困窮者自立支援制度での「就労準備」「家計相談」の実施が進んでいない。法改正の方針、自立支援と連動した取り組みで補助率や要件緩和(1/2から2/3、利用定員15人以上)されているためその活用を検討すべきである。(地域包括ケアに含めることも)

 行政支援の現状と課題・サポステの課題
・ひきこもりにアプローチできない
・民生委員等との連携が個人情報の問題でできない
・職業紹介のルートがハローワークに限られる
・職業体験や訓練プログラムがボランティア扱い

 長期化・深刻化する前に対応するために「早期対応」「未然予防」という視点が必要になる。学齢期に起こる不登校との関連性、不登校経験者がひきこもりになる割合が7倍近くにのぼる。中学校で不登校をのりこえず卒業した約30%が高校中退を経験。子どもの問題行動が反社会的から非社会的に変化してきた。年相応の自立ができない若者が増加しているのが背景にあるのではないか。精神的自立ができていないことが要因。家庭教育支援に取り組む予算を増やすことで、予防できたはず。

 ひこもり支援は本人だけではなく、家族に対しての支援を含めた様々な支援が必要。様々なセクションが支援を行っており、包括的な連携協力支援が必要。
 大阪府の高校内に居場所(プラットフォーム事業)の事例

「不登校支援における行政支援と民間支援の相違点」

~不登校支援と家庭教育支援の現場で活躍する支援者から議員に向けての課題提起~
山下真理子(家庭教育アドバイザー)
 不登校支援はチームで行うもの。体制(カウンセラー、訪問カウンセラー2名(母性的・父性的)、家庭の支援の4名体制)。学校のスクールカウンセラー(SC)・スクールソーシャルワーカー(SSW)、適応指導教室(見守る支援)、この拡充だけでは不登校は解決しない。
 解決を求める親からは対応の引き延ばしのようにも感じられ、不登校が長期化することによって問題が深刻になるケースもある。形式出席なので高校進学の内申書において不利になる。希望通りの進路に進めない。悩まない不登校も近年問題視される。見守る支援と積極的に関わる支援は大きな違い。将来的なかわいそうを無くす。
家庭教育力をアップさせる家庭ノートチェック法(客観的にみる)

「家庭教育支援から取り組む合理的な社会投資とは」

~国の有識者会議の委員が開設する最新議論~

 家庭教育は子供が社会に適応し、活躍するために必要な基本的な力を家庭で育む教育のことです。家庭教育支援条例、h25年4月(熊本県)

 今後、自治体ごとに家庭教育支援お基本方針を定めるように求められる。家庭教育支援チームを推進、参加型から訪問型が新設。当事者性、地域性、専門性が求められる。初期集中対応、SSWから支援チームへの連携、訪問。家庭教育支援の主体、①学校教育担当部局②社会教育担当部局③NPO主導

大東市の先進事例の特徴 
① ベルト型の支援モデル
 ユニバーサル型、これまでの先進事例、和歌山県湯浅町(小1から中3まですべての家庭に訪問)をモデルに、新小学1年生に対し全戸訪問、小学校区に支援チームを設置。
 その他に、ターゲット型(すでに課題を抱えている家庭)別府市、デメリット 受入側のニーズがないと動きにくい。問題解決型の支援は対応が難しい。

② 課題から逆算して組織を作る
1、縦割り行政の解消 最初から横断的プロジェクトとしてスタート
2、人材育成プラン リーダーのSSWを中心に民生などで組織化
3、予算の確保 生活困窮者就労準備支援事業費など
4、個人情報の壁 特例措置を規定

③ 活動指標として具体的な目標値を設定 小学校1年全戸(1000件)、いくカフェ(子供イベントと一緒に)
 実施体制、相談・訪問チームだけではなく、基幹チーム(教育委員会、福祉部局、専門家)、地域協議会を設ける。 教育予算の家庭教育支援の予算は1%未満。SSWを教育委員会づきではなく、支援チームづきにする。子育て窓口のワンストップ化。SNSでのサロン対応など。

「福祉と教育の縦割りを乗り越える」

~ネウボラとアウトリーチ型家庭教育支援の連動が生み出す親子の笑顔~

ソーシャルキャピタルの醸成のための「切れ目ない子育て支援」

日本版ネウボラの課題
① 医療機関と行政支援の切れ目
・医療施設中心の出産・里帰り出産(初産6割)
 医療的な視点が中心で母子のみ、産前学級の対象が初産のみ
② 福祉(首長部局)と教育(教育委員会)の切れ目
・地域協議会等の連携・要保護児童対策地域協議会を活用・コーディネーターを中心とした新しい枠組み・相談窓口をどちらかに一元化

家庭教育コンシェルジュを設置・育成が急務

2017年7月21日金曜日

早稲田大学×地域議員研究会 共催セミナー

早稲田大学環境総合研究センター 研究院准教授 永井祐二

「市民と創る地域ポイントシステムの実例と応用」

貨幣が不景気のため流通せず滞ってしまう。そのような中、地域内の相互支援手段として地域通貨が発生。海外地域通貨の事例:イサカアワー(アメリカニューヨーク州の北西部にある人口3万人の町:10ドル=1アワー)千人以上の個人会員と400の企業の参加のもと、200万ドル以上の経済効果があった。地域の富を循環させるために新しい仕事を作り出すに至っている。日本にも地域通貨のブームで現在第二次地域通貨ブームとなっている。地域通貨全リスト(http://cc-pr.net/list)で紹介されている。地域通貨が日本的発展を遂げており、流通地域の経済活性化という意義を超えて、福祉・介護・育児、街づくり、環境、教育 等を評価付けし地域問題の解決、地域コミュニティの再生まで発展しようとしている。
交換される対象として①サービスだけを交換②サービスとモノを交換2通りあり、対象がサービスだけであれ、モノを含むものであれ、交換の際の基準がないと地域通貨は機能しない。その基準となるものが①誰でもが平等にもっている「時間」を単位とする②サービスやモノの内容という「経済的な価値」を単位とする。
 今、バウチャー制度(政府の補助金が利用者個人に直接交付され、利用者が希望する施設を選択し、提出されたバウチャーに基づいて政府が施設へ代金を支払う)が普及してきており、ポイントとの連動が模索されてきている。
「北九州市の環境パスポート」「高知県交通エコポイント」その他都市と地域をつなぐモデルや横浜市のウォーキングやボランティアなどの継続的な取り組みをポイント化するモデルが紹介された。
近年、共通ポイントが熾烈な競争の中にあり3社に集約されつつある。そのことによって地域独自のポイント制度の魅力が削がれている。交通系ICカードや携帯端末にNFC(ICカードリーダー機能)がついたことを利用し、初期投資不要のシステムが開発されている。複数のポイントを管理(ココカポイント等)
今後、マイナンバーカード制度を活用した地域経済応援ポイント制度も出てくるが、セキュリティの問題が足かせとなる。交通系ICカードとの連動に活路がある。

「地域が豊かになる民泊の実例・基礎知識」

インバウンドの増加により、宿泊施設が不足。オリンピックに向けて施設の量の確報の観点で民泊に注目が集まっている。訪日外国人観光客増加のへの期待、農村漁村滞在型余暇活動、地方創生、シェアリングエコノミーの台頭。厚労省はこれまでも規制緩和をし、簡易宿泊所や農林漁家体験民宿なども設けてきた。更に国家戦略特区もある。
その様な中、民泊新法が施行。都道府県知事への届け出や年間提供日数180日の制限が設けられた。本来日本版DMOの役割で、単なる民泊ではなく多様なサービスを提供することが求められる。民泊はいわゆる旅館ではない。泊まる場所を提供するのではなく地域の良さをアピールすることが重用である。
空き家の改修はハードルが高い。あまりお金をかけずにやることが肝要。食事は利用者と一緒に調理することで食品衛生法から逃れられる。
緑の分権改革の枠、地方創生枠の上乗せ、農水省の補助金(農山漁村振興交付金)などを活用することも検討。

2日目 
㈱早稲田大学アカデミックソリューション
早稲田大学スマート社会技術融合研究機構 井原雄人

「地域公共交通の基礎知識」

 公共交通空白地の深刻化(人口比5.8%
地域公共交通に求められる役割①地域住民の移動手段の確保②コンパクトシティの実現③まちの賑わい創出や健康増進④人(来街者)の交流の活発化。
改正地域公共交通活性化・再生法(2014年):第4条で国・地方公共団体・交通事業者に努力義務や区域を超えた広域的な取り組み(必要な範囲で)を求めた。(地域公共交通網形成計画(総合的なネットワークによる多様なサービス)、再編実施計画、事業・協議会による規制緩和が可能)。(武蔵野市・三鷹市ムーバス)
地域の特性に合わせた事情需要に応じて多様な交通形態を選択。公共交通会議で合意が得られれば事業者によることが困難な場合、自家用自動車による有償運送(市営バスなど)。
地域の事例:兵庫県豊岡市、多様な交通により生活交通ネットワークにより利用者15万人が6万人に減少、10万人まで回復。熊本市、市営バスと民間が役割分担をして路線再編。
近年高速バスの需要が伸びているので、統計数字には注意が必要。
自家用有償旅客運送:デマンド運行(区域運行)。①迂回ルート型②*一部区間デマンド型③設定ダイヤデマンド型④区域型がある。
規制会議により公共交通会議による協議合意により、営業区域の隣接営業区域でも可能。
安全確保の対策は必須。地域公共交通の維持を社会の仕組みに置き換える、赤字路線を維持するためにこれまでは事業者の内部補助で賄っていた。愛知県瀬戸市(町内会費アドオン)。自己負担と協賛の割合をとことん話し合う。関係者が目的を共有して本音で議論。

「地域公共交通を守る工夫の様々な実例」

北九州市枝光地区の取り組み(やまさか乗り合いタクシー)。走行ルート:1周4k前後5ルート62便で運行(バスを何分待てますか15分)年間利用客89,000人。効率的なルート設定と事業性の確保。5名程度以上の平均用者数を確保するルートと運行密度により事業採算性を確保。利用者が350/日を超えるまで6か月間を要し、認知度を確保するまで高齢者を含めた地域住民への周知期間が必要。空き店舗などを活用し人の集まる場所づくり。結節点の整備と穏やかなデマンドがポイントである。

 低速電動バスの事例や観光との連携の取組みが紹介された。

2017年2月15日水曜日

「政策議会」について学ぶ


主催:㈱地方議会総合研究所
2017.2.15 京都テルサ:
師:土山 希美枝 龍谷大学教授

「政策議会」と市民参加 議会改革の「めざすところ」をとらえる
 事業が市民に対し信託するアウトプットである。議会のコミットが求められているはず。
            
1.政策・制度と自治体
(1) 市民と社会とのネットワーク
 暮らしに身近な取り組み(事業)は政策と制度によって成り立っている。課題状況を何かの目的をもって手段を設定する=政策(policy)。その政策の担い手は多様化し密接に絡み合っている。
(2) 都市型社会の「市民の政府」自治体の役割
 市民に必要不可欠な政策を整備する。自治体政策の最小単位は事業である。
2.政策議会とは何か
(1) 信託の実体としての政策・制度=自治体が行っている事業をより良くすること。
何が「必要不可欠」なのか、効果的なのか正解がないため「議論」で「決断」するしかない。「政策議会」とは市民により良い政策であるべく制御する主体である。
(2) 議会の機能=多様な意見を公開のヒロバで議論し、集約し決定する。内容と手続きの正当性と公開性が重要で、それを見える化できるのが議会である。監査機能と政策立案機能。
(3) 二元代表制「議会だからできること」
課題は無限であり、資源は有限である。複数の選択肢の中から議会が決断する。
2000年の分権改革で議会の監査・監視の範囲が広がった(基幹委任事業)。
3.「政策議会」の議会力を発揮する
(1)  議会改革の「本筋」=議論*(参加+情報公開)。
議会の5課題①政治争点の集約・公開②政治情報の整理・公開③政治家の選択・訓練④行政機構の監視⑤政策の提起・決定・評価
   議会はチームになれるかが重要。議会力=(議員力の総和)*x
(2)  議論はなぜ盛り上がり、なぜ盛り上がらないのか。事実という「情報」を共有し、「争点」に対する異なる意見を集約する「必要とヨロコビ」ある議会になる。
(3)  「争点」と「機会」をデザインする。
4.政策議会の市民参加
(1)  議会報告会と意見交換会、心が折れない「議会報告会」=報告から対話へ:目的と価値観を転換する。「争点」と「機会」のデザイン
(2)  政策議会の市民参加
 争点を議論する多様な手法、ワークショップ、ワールドカフェ、沖縄式(課題共有型)地域円卓会議 (CiNi)。発話のハードルを下げる(アイスブレイク)。
 岐阜県御嵩町・議会住民懇談会での問いかけ。どの案を選択するかだけを聞くのではない。
5.自治体議会の再構築 「もやい直し」のために
議会報告会から意見交換会への転換が必要である。参加人数を目標にするのではなく、参加者の満足度を問うべきである。その為には意見を吸い上げる「発話」の機会をつくる機構が求められる。全体的な説明ではなく争点を絞って行うことも必要。告知の方法を多様化。
先進事例:熟議、市民相談会(三田市)。議決権は拘束されない規定。政策をめぐって議論、議会の在り方をめぐって議論をはじめる。


「質問力でになう「政策議会」~一般質問の機能を発揮させる~」

1.たかが一般質問、されど一般質問
 標準市議会規則62条に「質問することができる」と規定、地方自治法には記載がない。
 議員は市民の生活課題を解決するために、選挙を経て議会に出てきているはず。その議員個人の政策的な関心や我が町の政策に対し、質すことができる場が一般質問である。それは、市政に対する監査機能や政策提案機能を果たす重要な機会である。
2.一般質問のしくみと機能
(1)  監査機能:行政がなすべきことを適切になしているかをチェックする。「こうあるべきだ」との方向性を示し質す。
(2)  政策提案機能:効果の検証や手法の評価・提案、とりあげられるべき施宇作課題を提起する。
(3)  一問一答かどうかよりも、持ち時間、再質問の回数、答弁調整の濃度が重要。問題意識が擦り合わないと議論が嚙み合わない。
3.一般質問が持つ課題の現状と背景
(1)  残念な・もったいない質問:窓口質問、論点を盛り込みすぎ、個別的すぎる、合理的な根拠や論拠のない、国や県の政策や事業で自治体が感知できない
(2)  無謬の行政という幻想:執行機関のメンツを潰すことになっている。議会と執行部が相互依存関係にある。議会不要論につながる。
4.機能する一般質問のために
(1)  論点整理:質問と目的の確認(なんの為に問いただすのか)
 論点は事実と意見、意見は分析と主張により構成されている。事実の共有が重要。最低限その質問で聞き出すことを確認する。
 監査機能を果たすための準備:制度や状況の整理・確認。
 政策機能を果たすため:他の課題に優先して対応すべき正当性、実現可能性を形にする。
(2)  情報収集
 現場で困っている市民生活の現場、それに対応する行政の現場、聴くことと聴く力の重要性。①基礎争点情報、レファレンス共同データベース、国立国会図書館②基礎情報elen③専門情報 CiNii、図書館収蔵文献情報
(3)  答弁調整は何が問題なのかが伝わり応答が噛み合わない事態は避ける。
  分かり易く15歳にでも分かるものとする。
5.政策議会の資源としての一般質問
いい質問をしても制度にいかされない=議員ひとりぼっちにしない。
複数の議員が同じテーマについて異なる論点や視点で質問を行う(議員間連携)。追加関連質問(尼崎市)、追跡質問。
議員質問の中から議会としてとりあげ、委員会の所管事務調査とする。委員会で協議して、とりまとめ、全員協議会で議決する。
先進事例①北海道美幌町は、全員協議会の3分の2で首長に提言。一定期間を得て報告をさせる。②芽室町は、自由討議時に一般質問のその後を追跡し、議会だよりで知らせる。③会津若松、多治見 議運で質問調整。④福岡県田川市「検討します」答弁についてその状況報告をさせる追跡型。

質問に対する追加資料をA4表裏で作成し配布したり、パワーポイント見て分かる資料・通告書にすることも考えられる。

2017年2月13日月曜日

政務活動報告:第19期自治政策特別講座「予算議会に備える」

19期自治政策特別講座
「予算議会に備える」 2017.2.22.3 神奈川県民ホール

1講義「自治体の長期ビジョン策定と議会の役割」
     総合的な計画審議のあり方 
     牛山 久仁彦 明治大学政治経済学部 教授

総合計画(自治体の長期戦略が明らかにされる)に議会がどのように関わるのか?が問われる。地方自治では地域の課題を解決する使命がある。分権一括法では、法定受託事務であっても議会で審議して良くなった。(1条第2①項「地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。(設置義務)」)しかし現場では今でも国の縦割り行政の慣習のなかで、総合的ではない。
 自治体政治は共和主義(住民が直接選択する)である。「二元的代表民主制=機関競争型」
自治体の計画=自治体の将来を計画する(総合計画から各分野計画)。そのため、議会の関与が重要である。

2講義「改正された介護保険制度―予算審議の焦点は」
    鏡 諭 淑徳大学コミュニティ政策学部 教授

介護保険制度とは介護福祉制度ではない。給付と負担のバランスをどうするかが重要である。給付の縮減と負担増のトレンドの環境下で、狭間を女性や退職後の高齢者の活用により埋める「地域包括ケア」が求められている。
保健制度は、保険料を納めることによってサービスを受ける権利を得る(普遍的な制度)ことであり、福祉制度は限定的なものである。保健者7700万人に対し、利用者が605万人。92%が負担のみの状態であることを認識しなければならない。
年間10万人の介護離職者が生まれ、290万人が働きながら介護をしているなかで、給付水準が削られると、更なる離職者増がもたらされる。介護保険の改正(2015年第6期)によりサービスを見直し、地域で頑張れ!と言っている。
 総合事業の実情は、事業者が負担増。多様な主体は15.5%で低調。地域支援事業も給付管理をしないといけないので大変。課題は、報酬や委託料の払い方、実施指導や事務監査、個別サービスの金額等の項目等を要綱で対応しているが、条例化する必要がある。更に、利用者への不安解消のためには、権利関係を明確化する必要がある。
2018年改正をむけた議論では、「給付を少なくする。社会増の6400億円を5000億円に圧縮する」方向性が示されている。これにより、介護報酬だけで生活援助が賄えなくなるなかで、自治体間格差が生まれる。要介護1,2のスタートは認知症。ここにボランティアが関わることが本当に大丈夫なのか。社協や直営のサービスが求められることが予見される。

3講義「再生可能エネルギーの地域経済効果―地域継続可能性の確保とは」
    倉坂秀史 千葉大学大学院人文社会科学研究科 教授

持続可能性を巡る状況、人口減少・高齢化のインパクトが激大。これにより社会インフラの更新が困難になる。一人当たりの維持経費における地域間格差が広がる。人口が減ることによってインフラは花火のように薄くなって消えていく。人工林を維持するには60万人必要(現在5万人)。人口減少下で各種資本基盤をいかに維持更新する、費用を生み出すのか、ストックを戦略的に削減していくのかが求められる。
資本基盤管理原則、閾値がある。踏み越えないように手入れする必要がある。
産業、域外に顧客を持ち外部から域内に収入をもたらす産業(成長部門)と資本基盤の手入れを行う持続部門。自治体はこの持続部門を支えなければならない。
産業構造シミュレーターにより将来の想定をして対応を図る。中高生による「未来ワークショップ」の開催(やちよ未来ワークショップ=125万円で)。
エネルギー、排熱を徹底的に排除する分散的エネルギー供給構造に変わる必要がある。
ダイナミックプライシング、電力需給を把握できる次世代電力系(スマートメーター)の設置により実現(2020年代)。都市計画の中でエネルギー供給を位置づける。熱電管の設置やトランスヒートコンテナなどを計画(岩手県紫波町オガールタウン)。
これまで域外に支出をしていたエネルギーを取り戻せる(21万円/世帯)。再生可能エネルギーは地方創生のカギである。(群馬県中之庄町、岩手県住田町、真庭市等、飯田市の再エネ自治体条例を参考)。http://kurasaka.world.coocan.jp/ 参照
持続期の経済社会での経済指標は、人口資本、自然資本、人的資本、社会関係資本。
フローマネジメントよりもストックマネジメント。
 

4講義「わかりやすい公会計の基礎―公会計の発祥と現状」
    亀井孝文 元 南山大学総合政策学部 教授

法体系はフランス式、カメラル簿記(ドイツ)=予算と執行額を一つにまとめる を採用。
現行制度の問題点、現金と物が一致しない。会計区分、一般会計(共通の財政)。現金主義・発生主義(几帳時の確定時の価値計算)、実態は現金収支会計である。
予算に対する決算の取り扱いが軽視されている。
予算編成時にはフルコストで編成すべき。減価償却と建設公債主義の溝がある。
前年度予算編成時に単コロがあったのかどうかチェックする。出納整理期間の問題。
地方公監査=アングロサクソン系(保障型監査)

5講義「自治体ICTの意義とコスト 予算審議のチェックポイント」
    小林 隆 東海大学政治経済学部教授

基幹フレームからの脱却をしなければならない。
現代は情報・知識を誰でも手に入れられる環境となった。「最近気づいていないことに気づき」、自分の関心のある経験による検索(外部参照系)と外部入力系による気づき(入力系)の両方が必要。これにより不確実性の低減が図られる。
ネットワークの3つの性質 ・クラスター性・スモールワールド性・スケールフリー性、クラスターを守りつつ適度なスケールフリー(成長)性を発揮させる 性質がある。
日本の地方を観ればこれから起こることが予見できる。そのために情報自治のためのシステムを活用する必要がある。
自治体ICTとセキュリティ、メーガン法から考えるべきことは、必要性を社会が認めたならば、プライバシーに関わる個人の利益、不利益の発生を予見しながら個人情報を提供する範囲を明文化して運用するしかない。
効率性のシステム予算より、負の分配に備える予算にしなければならない。

2016年4月29日金曜日

教育行政基礎講座に参加




2016年4月28日から29日の二日間、行政改革推進協会が主催する

「教育行政基礎講座」に参加しました。

 講師は、家庭教育支援センターペアレンツキャンプ代表理事の水野達朗氏。
水野さんは、民間事業者として不登校の児童生徒の復学支援をされており、厚生労働省の委員や 大東市の教育委員も就任されている立場で、議員として最低限知っておきたい「教育行政」 について講義いただきました。

「新たに始まった新教育委員会制度とは」 

教育委員会制度は戦後昭和23年に創設。
どの国も同様な制度であるように思われるが、実際はアメリカ、韓国、カナダと日本のみ。
教育委員会制度の趣旨は
 ① 政治的中立性の確保 
 ②継続性、安定性の確保
 ③地域住民の意向の反映
 Layman control (専門的知識のない人、素人へ委ねること)による合議制。
とされているが、実際は形骸化した議論となっていることが課題とされている。

平成27年度の地教行法の改正により、新教育委員会制度の改革は、
 ① 新「教育長」教育委員長と教育長の一本化
 ② 教育長へのチェック機能の強化と会議の透明化
 ③ 総合教育会議を設置
 ④ 教育大綱を首長が策定
とされています。

このことから、高松市でも
①開かれた教育委員会としての取り組み
  公開(開催時間、ネット配信)の内容、開催の頻度、傍聴の拡大
②総合教育会議の構成(教育と福祉の連携)
に着目して、現場を確認したい。

「小中一貫教育」と「チーム学校」の要点と解説

 課題は地域ぐるみで支える仕組みづくり、学校評価の充実、教職員の負担軽減の取り組みである。

チーム学校の議論で「次世代の学校・地位創生プラン」で検討されていることは
 ① 専門性に基づくチーム体制の構築、
   ICT支援委員(アクティブラーニングの推進)の配置状況、先進事例:東京都日野市
   部活動外部指導員、顧問 先進事例:名古屋市
 ② 学校のマネジメント機能の強化
 ③ 主幹教諭の配置、学校で認識されていない。
 ④ 人事評価制度の導入(h26地方公務員法の改正)、これまで勤務評定のみであった。
 ⑤ 学校サポートチーム

である。

2015年8月21日金曜日

稼ぐ力と雇用力が人口を増やす

地方創生・地域課題解決型セミナー

講座1:「稼ぐ力と雇用力が人口を増やす」

講師:岡山大学経済学部 大学院社会文化学研究 中村良平 教授



本講座のエッセンスは、

①基盤産業を見出す。市場性・発展性が必要

②基盤産業の産業連関、域内の連関を構築する

③基盤産業の移出が伸びると、地域経済が成長することを意味する

④乗数効果として非基盤産業への派生需要が生まれる

⑤地域内で所得が循環し雇用が増える、地域が発展する

⑥雇用が増えると人口の転入、増となる(自然増)も

⑦接続可能にするには、移入転換(自前で供給できるようにする)の可能性を常に探る

 

人口増は、若い人の移入・自然増・移出減・元気な高齢者の移入などをつないで考えることが求められ、SNS等を活用し潜在的Uターン希望者を把握することや、中学校区で地域図鑑を作成することも必要である。

現在、人口獲得競争の気配となっており、大都市の魅力は消費機会の多様性があることであり、地方はこれに対抗することは無意味である。まちの特徴を活かしたライフスタイルを提供、(地域内の人材ローテーション)地域終身雇用性を構築する必要がある。

これまで、様々な地域活性化の補助金などが創られてきたが何も起きなかった。

経済は実物経済、金融経済がある。小売(BtoC)と卸(BtoB)はターゲットが違う。ほとんどの地方都市は卸機能が大きく占める。その地域の商材を成長著しいアジアへ売り出す(商社機能を発揮)ことが鍵。それはスケールメリット、ネットワークのメリットが必要であるから。

総務省のe-stat resas,、経済基盤モデル、都市階層理論、産業連関分析、都市分析などのデーターの見方は、①他市との比較・トレンド分析②因果関係を見る。(高齢化比率は年金比率と相関)、(所得が高いと小売り販売額は高くなるはず、商品の流入出が分かる)、(資本労働比率が高いと労働生産性が高くなるはず、資本装備率が高いと労働生産性が高いはず)これらのデータが示す差異を分析する。

規範的モデルと問題解決ストーリーが必要。経済基盤モデルとは、人がいないと成立しない産業、対人サービスや対事業サービス、派生産業を視る事。需要者が町の外にいる製造業(農林水産業)自然や天然の条件ストックがあって成り立つ。基盤産業があれば、非基盤産業もついてくる。基盤産業を見つけるには特化係数を見る。相対的な優位性を見ることが大事である。特に修正特化係数(世界市場との比較)を用いるほうが有益。小さくてもいくらでもある地域の基盤産業を見つけることが必要。更に、特化係数と雇用力(雇用割合)をマトリックスに分布して分析することが重要である。そして、その上に

①基盤産業の投入産業を確保できているのか?デマンドフロー

②サプライチェーンが地域内で形成されているのか?

③基盤産業のこれまでと将来性・基盤産業の再興・非基盤産業の連関・成長産業であるか?

 

高松市の分析では、卸売事業の修正特化係数が高く、雇用貢献度も高いこと。この機能を伸ばすこと。海外にも目を向けて販路の拡大を拡大することなど、圏域商品の圏域外への販路拡大が鍵となる。その為には、「もののインターネット化」や、空きオフィスの有効活用で事業化もキーワードとなる。地場のメーカに支店長などのアイデアを掛け算にするような場の設定も必要である。

2014年8月7日木曜日

教育改革は家庭教育支援から切り込め

8月4日、5日 東京八重洲で開催された地方議員研究会に参加しました。

教育改革は家庭教育支援から切り込め

「家庭教育支援行政の実際」

講師:水野達朗 一般社団法人家庭教育支援センターペアレンツキャンプ 代表理事



家庭教育支援のメソッドは、保護者がカウンセリングの手法を活用することである。

多くの場合は、不登校は心が満たされるまで待ちましょうとされているが、多くは積極的に戻してあげたほうがよい。そもそも家庭教育とは、教育基本法第10条に、保護者が子どもの教育について第一義的責任を有し、国や地方公共団体が家庭教育支援に努めるべきことと規定されており、子どもの自立を家庭で育むものである。

現在の行政における家庭教育支援は、ニーズをつかみ切れていない。

半数以上が家庭の教育力が低下していると感じており(香川県家庭教育状況調査)、躾の不足や不安を半数が感じている。でも、コミュニケーションは取れていると感じているとのアンケート等から、家庭でのコミュニケーションの内容や形態に問題があることが示唆されている。過保護なのか?過干渉なのか?分からなくなっているのである。以外に小学校1年生の不登校がある。その多くは、過保護・過干渉のため、怖い学校よりなんでもしてくれる家庭が良いというケースである。

これらの背景から、自治体における家庭教育支援の規範として、家庭教育支援条例が発布され始めている。(平成25年くまもと家庭教育支援条例)しかし、公的支援では市民のニーズが相談にあるのか?解決にあるのか?を紐解く必要がある。

日本の不登校支援の成り立ちは、平成4年の適応指導教室を中心とした来談者中心療法のカウンセリングが中心(待ちましょう)とされてきた。平成10年、不登校は心の成長の助走期ととらえ、ゆとりをもって対応しようとなっている。平成13年にはスクールカウンセラーの活用が始まり、拡充が進んでいる。その後、学校の柔軟な対応や連携ネットワークの整備など、不登校支援の機能は強化されているものの、「待ちましょう」対応は変わっていない。保護者が求めているのは、抜本的な解決なのである。

不登校の現状は、小学校が3万人、中学校10万人とされているが、実際(別室登校などを含めると)はその5倍ぐらいはあるのではないか?地域での現状把握が必要である。注意すべきは、どこにも相談・指導を受けなかった生徒が30%も存在している(そもそもやる気のない親の存在)ことである。中学校での家庭教育施セミナーの意識づけ、中間層も取り込んでいく手法も必要である。また、不登校生徒の進学は67%、高校ではそのうち60%が無事卒業。平成11年度調査を行った不登校生徒の22.8%がニート・ひきこもり状態にある。これは大きな問題である。解決の出口が、見かけの不登校数減少や進学率の向上ではなく、「社会(仕事に従事)」であるなら、もっと早くから家庭教育支援の改革が必要ではないか。対処療法的ではない未然予防という考え方、家庭教育支援が必要なのである。

学校・先生の立場を家庭(保護者)が下げている現状がある。公的支援の相談窓口が複雑な上に、不登校の対応は教育部局、アウトリーチは福祉部局といったように、縦割りの障壁があり、円滑なサービスが提供できていない。だから、中間支援の存在の重要性が高まっている。

 

教育予算全体の中で自治体独自にできる割合が5%。実際に家庭教育支援に向けられるのは1%にも満たない。現状の教育予算を詳しく見て、既存事業の圧縮、無駄を省くこと。また、時限的な予算(耐震化やICT導入など)の切れ目が狙い目である。更に、国の補助金を利用することも有効な手段。文科省の家庭教育支援における訪問型アウトリーチ支援事業などがあった。そして、地域資源(ボランティアや民間団体、NPO)をうまく活用できているか見る必要がある。家庭教育支援をチェックするには、運営体制はきちんと整えられているか?乳幼児支援に留まっていないか?を注視する必要がある。不登校に対する公的支援は、長期欠席者全体を考えた支援が行われているか?病気と判断されている場合は保健・福祉部局に引き継がれフォローされなければならない。また、義務教育後の支援、引き込もり支援や就業支援と連携が取れているか?注視する必要がある。

 

家庭教育支援行政の問題点は、①窓口が猥雑であること。佐賀県武雄市の窓口一本化などの例もある。子育て支援センターの窓口への一本化と情報共有し、教育支援センターは実際の支援活動と人材研修に特化させる。さらに学校・医療機関・民間機関との連携強化していくことが求められる。②縦割り行政の問題点を改善するために、地域協議会での連携や、要保護児童対策地域協議会を活用すること、コーディネーターを中心とした新しい枠組みの構築、相談窓口を教育委員会か保健福祉局のどちらかに一元化する、放課後児童クラブと地域子ども教室など競合する支援の連携・一元化などが上げられる。③セミナーサロンの在り様自体が、時代の要請に応えていない。改善策、新しい家庭教育支援のカタチの検討。電話やメール、アウトリーチなど。SNSやLINE等の活用も検討してみては。

 

 

「地域資源を活用した新しい家庭教育支援のカタチ」

 

最近のニュースで、教職員の平均年齢が低下、教員の多忙改善、外部人材(チーム学校)の活用を目指す(中教審に諮問)報道があるなど、分業化が指向されているようである。しかし、もっと先を見込んだ地域で家庭教育支援を行うことを目指すべきではないか。

中間支援は、学校と家庭をつなぐものと思われがちですが、それに留まらず全ての機関と繋がることが求められている。子供を取り巻く環境が変化し、家庭・学校・地域が支える力が弱くなっており相互連携も図れなくなっている。その隙間を中間支援機関(塾、NPO、行政の支援チーム)が埋めている。過渡期として、中間支援機関に期待するのはやむを得ない。しかし、先ず力を取り戻すのは家庭教育支援である。学校・先生の立場を下げているのは家庭なのであるから。

現在抱えている問題点は、家庭教育の情報不足・情報過多である。特に情報過多が問題。家庭では、混乱して何をしていいか分からなくなっている。家庭の孤立化は危機的状況にある。これを阻止するために家庭教育支援チームが活躍するべきである。何もしない事が最大のリスクであるという認識が必要である。

家庭教育支援チームの役割は、①保護者への寄り添い支援②家庭と地域とのつながり支援③家庭と学校など関係機関とのつながり支援とされている。家庭への訪問型支援を通じて、地域の立場から学校での子供の状況を家庭に伝え、両者をつげている。

その求められる機能は①当事者性、②地域性、③専門性であり、違う属性の支援・機能が必要な為、チームでの支援が必要である。

具体的に求められる機能として

①       保護者への情報や学びの場の提供

②       家庭と地域とのつながりの場の提供、サロンも有効活用(保護者が参加しやすい企画をマネジメントすることが重要)

③       訪問型家庭教育支援(アウトリーチ)

現状の体制は、家庭教育支援を担当する職員が配属されていない。チームの組織化(人材育成)、中心となる存在(ファシリテータ)の養成が重要。また、法的根拠からチームの拠点が重要である。武雄市の家庭教育支援チームの成功例は、行政の財政的支援がカギ。

家庭教育支援の支援モデルイメージが重要で、関心が高い保護者から低い保護者までを、支援機能を有効的に活用し、移行・循環させることがポイントである。

家庭教育支援チームの組織化マニュアルが重要。その組織化は①基本的な組織体制の構築②相談業務や訪問型支援を行う場合のルール作り③包括的なネットワークの構築という3つの段階を経て進められていく。その上で、地域に中心となる存在(ファシリテーター)の養成が重要である。その家庭教育支援チームにおける人材養成には、①地域密着型②チーム型③循環型がある。

 

 

2014年7月26日土曜日

人口減少のなかで活力あるまちづくりを考える

2014年7月24日(木)、25日(金)

於:京都テルサ

主催:NPO法人建設政策研究所 関西支社

第11回地方議員研修会

「人口減少のなかで活力あるまちづくりを考える」 

に出席しました。



 

記念講演「人口減少時代のまちづくり」

中山徹 奈良女子大学 教授

政府の2014骨太方針で「50年後に1億人を維持する」ことを目指している。しかし、出所率2.07(高度成長時代の出生率)が前提条件であるため、極めて厳しい目標である。それでも人口は2割が減るのである。まちづくりの大前提が「人口減少・高齢者が多い」としなければならない。

これまでのまちづくりの基本は、増加する人口、産業をどう受け止めるのか、乱開発の防止がテーマであった。しかし、現状でのまちづくりでは、人口減少に対応する計画が未確立なために、無計画な縮小が発生している。人口が減る時に放置すると、街が衰退する。

海外の事例

①     ドイツのシュリンキング、10年前から減築(集合住宅)を国が制度として開始。建物を計画的に間引いて、公園や高齢者施設に変えている。

②     アメリカ、ヤングスタウンのシュリンキング。市街地を縮小する計画を立てるがうまくいっていない。

③     イギリス・コミュニティフォレスト、かつて失われた自然や歴史を取り戻す。

④     韓国ソウル・清渓川(チョンゲチョン)再生プロジェクト。環境とか文化を高めて優秀な人材を呼んでくる(創造都市)。

ヨーロッパでは公共交通を軸としたまちづくりトランジットモール(LRT)を採用。

まちの格を創るのは、景観・眺望規制が必要。

人口減少時の対応は、空間的な対応は容易であるが、財源的な対応が困難。

①     参入者から徴収することが不可能。EUでは、地域から撤退する企業から財源を確保、撤退者から徴収。

②     社会的に負担、コストを投じても縮小することの方が将来的にコスト減。ドイツのコンパクト化は社会的住宅が多いから。分譲住宅ではほとんど進まない。アメリカでは公的機関が空地の集約化を図りやすい。

検討すべき課題は、都市部での発想と農山村での発想が異なる。農山村の場合、費用面だけで判断すると集落の集約化、さらには都市部への集団移転が望ましいことになってしまう。

 

特別講演「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」

~コンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築~

高森長任(富山市都市整備部 次長)

 

富山市のまちづくりの基本方針「公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを実現」施策のポイントは、①公共交通の活性化、②公共交通沿線地区への居住推進、③中心市街地の活性化である。都市マスタープランに、居住推進地区を設定し、土地利用と公共交通を一体的に推進。居住人口の目標を20年後に40%と設定し推進。また、市長が109回のタウンミーティングで市民に直接説明を行った。LRTの整備だけではなく、公共交通の活性化と地域特性に応じた多様な生活交通(コミュニティバス等)の確保。

公共交通の設置運営方針は、公設民営で上下分離を行い、公共交通を維持するものである。

セントラムの整備効果としては、①利用者の70%が女性、②買い物目的の外出機会が増加、③移住にも貢献。

JR高山本線の活性化のために社会実験(市費)で5年間実施し、効果の高いものを事業化している。

幹線バス路線の活性化方針は、イメージリーダー路線を重点整備する。

公共交通沿線地区への居住推進策として、①まちなか居住推進、共同住宅の建設補助(100万円/1戸)、優良賃貸住宅建設補助(20万円/1戸)。②沿線居住推進

中心市街地の活性化では、ハード(基盤整備)とソフト(イベントや仕組み)を実施。おでかけ定期券や、まちなか活性化事業サポート補助金、高齢者支援と地域コミュニティの活性化、孫とおでかけ支援事業を実施。学校跡地に介護予防施設を設けるなどしている。

 

 

2日目講義A「まちが生き残るために」コンパクトシティと魅力の創造

今井晴彦 都市計画コンサルタント ㈱サンプランナーズ 代表取締役



第1講 「人口減少と高齢化はなにをもたらすか」

人口減少は一律ではなく地域格差がおきる。地方都市では2030年に高齢者がピークを迎えるが、3大都市はその後も継続して増加する。そしてその、しわ寄せは地方都市にもたらされる。高齢者の独り暮らしが増大し、国が考えてきたような「在宅での介護」は成り立たない。また、交通弱者が増大するため、歩いて暮らせる交通体系が求められる。空き家、空き地の増大。幽霊マンションも増加。相続をしていない、所有者不明の土地も増えている。このため、人口が低密度化することで、都市の維持コストも増大し、都市の経営・財政が困窮する。都市が生き残るためには①まちの活力を維持発展させる(産業・魅力・サービス)②コンパクト化、歩いて暮らせるまちづくり が重要となる。

 

第2講 「都市のコンパクト化をどう進めるか」

まちのコンパクト化には、中心市街地活性化は重要である。

まちなか居住の施策としての「行政による住宅供給支援事業」は、財政効率が良いか検証が必要である。

民間によるまちなか居住の取り組みとして、帯広市(ラプサム協同組合)の廃業となったビジネスホテルを食事付き賃貸住宅や、千代田区神田のNPO法人都市住宅とまちづくり研究会によるコーポラティブ住宅の事例を紹介。

空き家・空き地への取り組み、「空き家バンク」や富山市の岩瀬まちづくり㈱で建物の保存修復、活用を行っている。路線価の1/3で購入し、路線価の1/2で借地。長野市の有限責任事業組合ボンクラでは、空き家めぐりツアーし、希望者の要望を取り入れたリノベーションを行い、修繕費用を家賃から徴収する。大家は不動産に価値ができる。

住み替えで家を有効活用、移住住み替え支援機構を活用し、高齢者が自宅を売却することなく住み替えや老後の資金として活用することが可能。

歩いて暮らせるまちづくりでは、公共交通と自転車活用が柱である。

国の政策動向は、都市のコンパクト化を促進する施策、中心市街地活性化法の改正が計画されている。都市機能誘導区域、居住誘導区域を設定するもので、立地適正化計画を市町村が立てる、包括的なマスタープランを作成することが求められる。

都市機能立地支援事業制度(地方公共団体の応分負担なしに民間事業者に直接支援)もポイントである。

 

第3講義 「都市の魅力をどのように高めるか」

魅力が無ければ、経済が衰退する。まちに魅力が無ければコンパクトにはならない。誰にとっての魅力か?①地元の人②観光客「住んで良し、訪れて良しのまちづくり」である。

外貨獲得の主要は観光政策。中心市街地は便利で安全かもしれないが、現在は多くの地域が、夜楽しむ場所がなく楽しくない。都市の観光的な魅力とは、街なみ景色・食べ物・歴史文化があることである。

まちづくりを進めるために、地域の人材が重要。欧米では都市計画、まちづくりを義務教育で行い、市民やNPOを育てている。自治体の職員の見聞、知識を高めることも必要。 更に、外部専門家を活用することが求められる。