今回の代表質問は、情報技術や科学技術の劇的な変革により大きく様変わりを遂げようとする中で、10年後、20年後の高松の未来に焦点をあて「まちづくり」やそのまちづくりを担う「人づくり」など大きく9項目にわたり質問をしました。
大項目4「地域共生社会の実現について」
これまで我が国の公的な福祉サービスは、高齢者・障害者・子どもといった対象者ごとに、典型的と考えられるニーズに対して専門的なサービスを提供することで、福祉施策の充実・発展に寄与して参りました。しかしながら、介護保険法、障害者総合支援法、子ども・子育て支援新制度など、各制度の成熟化が進む一方で、人口減少、家族・地域社会の変容などにより、既存の縦割りのシステムには課題が生じています。具体的には、制度が対象としない生活課題への対応や複合的な課題を抱える世帯への対応など、ニーズの多様化・複雑化に伴って対応が困難なケースが浮き彫りになってきています。
本市においても今後、行政やサービス提供側の人材確保の面から、従来通りの縦割りでサービスをすべて用意するのは困難となってくることも予想されています。今般、一億総活躍社会づくりが進められる中、福祉分野においても、これまでの価値観を転換し、福祉は与えるもの、与えられるものといったように、「支え手側」と「受け手側」に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュ
ニティを育成し、公的な福祉サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる「地域共生社会」を実現する必要性が高まっています。
具体的には、「他人事」になりがちな地域づくりを地域住民が「我が事」として主体的に取り組んでいただく仕組みを作っていくとともに、地域づくりの取組の支援と、公的な福祉サービスへのつなぎを含めた「丸ごと」の総合相談支援の体制整備を進めていく必要があります。また、対象者ごとに整備された「縦割り」の公的福祉サービスも
「丸ごと」へと転換していくため、サービスや専門人材の養成課程の改革を進めていく必要があり、これらの具体策の検討を加速化するため、国は平成28年7月に「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部を設置し、取り組みの推進を開始しています。今年度の予算では「地域力強化推進事業」や「多機関の協働による包括的支援体制構築事業」が出ていますが、本市もこれらの事業を有効に活用し、対策を講じる必要があります。
私は、この地域福祉の推進について平成27年12月議会で代表質問を行いました。
本市では、高齢社会に対応するために「長寿福祉課」「介護保険課」「地域包括支援センター」のそれぞれの課が連携を図るために「長寿福祉部」を設け連携強化を図ってきました。また、長寿福祉課の中に「地域包括ケア推進室」を設け医療と介護が連携して住み慣れた地域で生活ができるように調整する体制整備を行ってきています。
しかし、介護保険法の改訂により、要支援1.2など介護予防の事業が介護保険制度から自治体に移行されるなど、行政サービスで全てをまかなえないとして、元気な高齢者など地域の人財の力を借りてこれからの高齢社会を乗り越えようとしています。そこで重要になってくるのが「社会福祉協議会」や「民生委員」などです。しかしこれらの役割を所轄するのが「健康福祉総務部」と違う部署であることから整理が必要なのです。ましてや「地域包括ケア」の役割が高齢者だけではなく、「地域福祉」全体へと拡充されて・丸ごと担うことが求められようとしているのです。そこで、「地域包括ケア推進室の機能と役割を地域福祉の充実まで担うべきだとして再整理することと、福祉政策機能の強化」を訴えて参りました。
大西市長の答弁でも「地域福祉課題が多様化・深刻化している認識を示され、その対策が急務であり、本市に適合する対応策を検討する」と述べられていました。
1年半を経過し、今般の国の新たな動向も踏まえ、地域共生社会の実現に向けた今後の取り組みを質しました。
市長からは改めて、『多様化・複雑化する福祉ニーズに的確に対応していくためには、個人や世帯が抱える複合的な課題に、公的支援が分野を超えて総合的に行われることが必要だ」との認識を示されました。本市では「総合センター」に子育て世帯包括支援センターと地域包括支援センターを併設し、妊娠期から子育て期までの切れ目のない相談者への支援のほか、ダブルケアが必要な人への支援や高齢者への支援を連携して行おうとしています。また、個別事案について関係機関の多職種が連携して解決に向けた検討する「地域ケア小会議」を開催している現状を報告されました。更に、今年度障がい者や高齢者からの多様なニーズに一体的に対応できるように「基幹センター」を設置し、相談支援体制の充実を図ることとしています。(この基幹センターの必要性も過去に提案しました!)
このように総合的な支援体制が整いつつありますが、関係機関や地域との連携を一層図るために、包括支援体制の構築に取り組んで行きたい との答弁がなされました。
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